ある『本』を巡っての話で、ギイがチェリーの設定です(笑)
心も体も、一つになって早一ヶ月。 夏の日差しがキラキラと輝き、木々の間から光の柱が幾重にも折り重なっている。
「崎、葉山、いるか?」 ノックと同時に舎監の先生の声がした。「オレも託生もいますよ」
授業が終わり、珍しく用事がないギイと一緒に帰ってきた305号室。 とりあえず宿題を片付けているぼくの後方で、ギイはベッドに腰掛け、愛読書プレジデントを難しい顔をして読んでいた。
「託生………ごめん」「……………」「なぁ。謝るから、許してくれよ」
「一応、全部詰め込んできましたが」「あぁ、すまなかった。島岡、助かったよ」 まどろみの中、漏れ聞こえてきた声に、うっすらと目を開けた。