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●  永遠という名の恋 -9-完(2011.5)  ●

『丸一日経ってから連絡してくるなよ。召集かけるのも時間かかるんだぞ』
「悪い、章三」
『悪いなんて欠片も思ってないだろ、お前?』
 呆れつつも笑いを含んだ章三の声に、オレの頬も緩む。
 急な来日で、しかも今回は託生が最優先事項。
 会わずに帰ろうと思っていたのに、音楽堂で改めて過去諸々の謝罪をしたオレに、
「ギイがぼくを思って、黙っていたんだろ?だから、いいよ。そんな事より、祠堂のみんなに会いたい」
 託生は言い放った。
 あっけに取られたオレに小首を傾げ、
「ダメ?」
 と付け加えられたら、何が何でも叶えないといけない気分になる。
「日にちが決まったら連絡くれよ。章三の時間が空くなら、その前に会ってもいいし」
『あぁ、こっちも調整する』
 携帯を切り、煙草に火をつけ深く紫煙を吸う。肺いっぱいに広がった苦味が、高ぶったオレの気持ちをも引き連れていってくれた。
 結婚して、託生の事ならなんでもわかると思い上がっていたオレの鼻柱を、容赦なくへし折られた今回の出来事は、たぶんこれから先、二人で生きていくためのいい教訓となるのだろうが。
「もう、本当に、あいつは……」
 託生の強さと立ち直りの早さに、今までどれだけ救われたかわからない。
 ドアの開閉音が聞こえバスルームから出てきた託生の気配に振り返り、そのままオレはあんぐりと口を開けた。
「たく……み………?」
「あの………」
 バスローブのまま、顔を真っ赤に染めてドアの前に立ち尽くした託生の側に足早に近寄り、その勢いのまま腕の中に閉じ込める。胸に顔を埋めた託生の香りが、気付かないふりをしていた渇きを自覚させ、ゴクリと喉が鳴った。
「そういう意味に取ってもいいのか?」
「うん」
 こっくり頷いた託生の頬に手をやり顔を上げさせて、誘われるがまま口唇を重ねる。何度も角度を変えながら深く求め、お互いの唾液を交換して口唇の甘さを堪能すると、託生の足がカクンと落ちた。
 覗き込めば情欲に濡れた瞳がオレを射る。この瞳だけで十分天国にいけそうな気はするが、哀しいかな、まだまだオレ若いんだ。これだけじゃ全然足りない。
 託生を抱き上げ大股に部屋を横切りベッドに下ろすと、しなやかな託生の腕が首に巻きついた。そして、耳元でボソリと囁かれた言葉に一気に煽られる。
「いいのか?」
「うん」
「できるかもしれないんだぞ?」
「うん」
 恥ずかしさに彷徨わせていた託生の視線が戻り、
「覚悟決めたから」
 色気とは程遠い台詞をはいて、オレを引き寄せた。
 不器用なくせに時にこちらが驚くほど大胆になる、可愛いオレだけの託生。こんなに愛しい存在に出会えた奇跡を、どう感謝したらいいのだろうか。
 お前が存在する限り、オレは永遠に恋し続ける。




数年前のプロットを大幅……いえ、全面書き直しのLife本編「永遠という名の恋」でございました。ただし、テーマみたいなものは全く変わってません。
以前のは子供ができちゃってから……だったんですよ。
でも、小話ついったー書いているうちに、できる前に決着つけるかと変更しました。
Lifeそのもの色々な問題を含んでおりましたが、あれで「めでたしめでたし」と全てが終わるわけでもなく、これからも壁にぶつかるんだろうなぁと思ってました。心の傷が一番治りにくいと思いますんで。
二人で乗り越えて絆を深めていく事と、でもまだまだ青いぞというところを書きたかったのですが、どうでしょうか?
(2011.5.11)
【妄想BGM】
⇒One Love(動画サイト)
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