Destiny(卒業後)
ashtray (2003.4) (1/1)
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「ギイ………?」
ゆっくりと注意深くベッドを降りたはずのオレの背後から、掠れた囁くような声。
無意識だろうか、うつ伏せになったまま伸ばした左手で、隣にいるはずのオレを探す。
その仕草が子供のようで、クスリと笑った。
「ちょっとシャワー浴びてくるよ」
伸ばされた手に口付けを落とすと、うっすらと目を開け
「……え…………」
先程と変わらない掠れた声で呟く。
「なに?」
「……がえ………左の………クロー…ゼットの………な………か…………」
最後まで言い終わらないうちに、眠りへ戻っていった託生を、不粋な質問で起こすのは忍びない。
「左のクローゼットが、どうしたって?」
ベッドと反対側の壁。作り付けのクローゼットを音を立てないように開けると、そこにはオレの鞄が置いてあった。
昔、まだ日本とNY、離れ離れで暮らしていた頃、託生の部屋にそのまま置いていったオレの荷物だ。
ゆっくりファスナーを開けて、中の物を取り出す。
きちんと畳んだ着替え一式。それと、黒いシンプルな灰皿。
「お前、灰皿をこの中に入れるなよ」
言いながら、託生らしい合理的な行為に笑みが浮かぶ。
「ギイ専用なんだよ」
と言いながら、来日したオレの前に出された灰皿。
もちろん、託生の部屋には別の灰皿があった。
でも、それは”友達用”だと、託生は笑いながら言ったもんだ。
ベッドに置ける事までは考えていなかっただろうが、幾分小さめのこの灰皿は、託生が選んだ事もあってオレのお気に入りだった。
「NYまで、わざわざ持ってこなくても………」
でも、その心が愛しい。
オレとの思い出を大切に持っていてくれた、最愛の恋人。
「もう一度、使わせてくれよな」
あどけない寝顔に囁き、煙草に火を灯した。
なんとなく、勢いだけで書いてしまいました(笑)
考えたら、ギイってすっぽんぽんのまま、煙草を吸ってたと言うことで(爆)
ギイだから、いっか(なんで?!)
(2004.4.21)
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