Destiny(卒業後)
小さな記憶〜After〜Destinyバージョン(2011.4) (1/1)
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《穏やかな時間の中で》カテゴリーの「小さな記憶」の続きです。
少ないとは言え、それでもそれなりに詰まっているクローゼットの中身をダンボールに入れていく。隣のキッチンに置いてある食器などは新しいマンションの方に全て揃っているので、これまたギイが処分する為にダンボールに詰めてくれているはずだ。
アメリカに来て2度目の引越し。けれども、人生最後の引越し。
これからはギイと二人で、生きていくのだから。
全ての衣服を詰め込んで小物を詰めようとした時、
「あ………」
それは、隠れるように見つかった。
日本から持ち込んだ1冊のアルバム
「懐かしいな」
高校2年の終わり頃、二人でアルバムコーナーを回って決めた、シンプルなアルバム。
高校時代の思い出とギイとの思い出を貼った、大切な物。
「託生、終わったか?………って、お前、何やってんだよ」
クローゼットの前に座りこんだまま、アルバムを広げているぼくを見て、ギイは眉間に皺を寄せた。
呆れた声に、
「ごめん」
と素直に謝りパタリと表紙を閉めると、
「アルバムか」
懐かしそうに目を細め、同じようにぼくの横に座りこみ、ぼくの手からアルバムを取り上げる。
ギイも結局見ちゃうんじゃないか。
呆れ半分、一緒に覗きこんでいると、ふとアルバムをパラパラ捲っていたギイの手が止まった。
卒業した年の夏の旅行を最後に、止まってしまったアルバム。その真っ白なページを見て、ギイの顔に苦いものが走る。
これ以降に撮った写真はあるけれど、どうしてもこのアルバムに貼る事はできなかったのだ。これは、ギイとぼくの思い出だから。
「このページ、新しいマンションで撮った写真を貼ろうよ」
だから、殊更明るく提案する。
止まっていた時間を………凍り付いていた時間を溶かして、また新しく始めるために。
「託生………」
「また、貼っていこうよ」
ぼく達の思い出を。
こんな数ページ、すぐにいっぱいになるくらい、たくさんの思い出を作っていこう。
「そうだな」
ぼくの言葉に力強く頷くと、ギイはアルバムをダンボールの中に突っ込んだ。
「なら、さっさと荷物纏めて引越し終わらすか」
「うん!」
止まったままのページ。動き出したぼく達の記憶。
また、これから、新しい記憶が作られていく。
「Reset」「Life」にも、それぞれのアフターがあります。
(2011.4.1)
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