秘密の小部屋

2010.05.16 (1/2)
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2010.05.16 00:12〜2010.11.18 10:31(未完)

ブログではできない突っ込んだことが、あれこれできそうで、楽しみです! まずはあれかな? ちっちゃく『祠堂の中庭で』をスタートかな? via web
2010.05.16 00:12

初回のゲストは誰にしよう。MCはタクミくんだとして。あっ、麻生先輩!? が、いいかな? via web
2010.05.16 00:20

と、思ったのだが、そういえば! 『誰かが――』でタクミくんが寝込みがどうとかでギイにからかわれた一件以来、そういえば他のカップル達はどうなんだ? という素朴な疑問が。早速タクミくんに色んな人に訊いて回ってもらっちゃおう! よし、ここからスタート! via web
2010.05.16 01:52

恋人の寝込みを襲う、などという発想のカケラもなかった託生くん。おくゆかしさはさておき、そういうの、『恋人』として、どうなんだ? という疑問にぶち当たる。そこで、こっそり訊いてみることにした。――他の人たち、って、どうなんだろう? via web
2010.05.16 12:39

ものすごく興味があるのは、三洲、だが、――彼に直接そんなことを訊いたならば、今後の寮生活がどうなるか、滅法コワイので、まずはさっくり答えてくれそうなところから。 via web
2010.05.16 12:43


高林泉。――よし。
訂正。 高林泉。なう。
早速、高林泉を探す。
彼はどこにいても目立つので、そんなに難しくないかと思いきや、探している時に限って、どこにも姿が見当たらない。――もしや。
案の定、高林、吉沢の部屋になう。
見つけられたのはいいが、2人に同時に訊くのは、……ダメだろう。やはり。個別だろう、この場合は。
どうにかして、高林を外へ連れ出すか、もしくは、
「……別の人に当たるべき?」
であろうか。
「なに、葉山? (僕の)吉沢に、何か用?」
と高林。
さっきからもぞもぞしているのが余程訝しいのか、
「用があるならさっさと言えば?」
と、これみよがしに吉沢の腕を抱く。――もしかして、誤解させた?
「あー……、えーと、用があるのは高林くんに、なんだけど」
言った途端、
「早く言えば?」
不機嫌そうにかぶせられた。
――ヤバイ雰囲気。こんなんで、あんなこと、訊いても良いのだろうか? いや、まずいだろう。絶対答えてもらえない予感。
「あー……、急ぎじゃないから、また今度」
そそくさと部屋を出る。
――楽勝だと踏んでいたのは、大いなるマチガイだった! というか、間違いなく! タイミングが悪かった。
仕方ない、彼に訊くのはまたの機会にするとして・・・・・誰だったらすんなり答えてくれるかなあ? ・・・・・・野沢くん?
同じ階段長でも、吉沢のゼロ番と野沢のゼロ番は階をひとつ挟んで上と下なので(これがギイだと、階が違うだけでなく寮の端から端まで移動だ!)、そっこー、向かう。
階段をだだだっと駆け降りていると、猛スピードで誰かがぼくを追い越して行った。−−うわ、瞬足!(←それはアキレスのシューズの名前。正しくは、俊足)
真行寺!! −−らっきー。
三洲にはコワクてとても訊けない質問だが、真行寺は別である。−−訊いちゃえ、彼に!
「真行寺くん!!」
階下に向かって大声で呼び止めてみたのだが、ぼくの声が届かなかったのか、あっと言う間に一階に着いた彼は、そのままどこかへ行ってしまった。−−残念。
それにしても、ぼくとは違い何事にも目敏い真行寺が、いつもならぼくをみつけると必ずじゃれついてくる真行寺が、階段で、こんな近くですれ違ったのに挨拶もなしで、−−何かあったのだろうか? 
なんとなく、必死の形相で階段を駆け降りていたようにも、思えるし・・・・・・?
「ま、いいか」 (←え!? スルーですかタクミくん!? 追いかけろよなう!)
「だって追いかけたくてもとっくに見失っちゃってるし」(まあ、それはそうですけど)
「それより野沢くん、野沢くん」(←ううむ。これもひとつの、前向き、なのか?)
二階に着いた時、下から駆け上がって来た誰かとぶつかりそうになった。
「おおっと!」
ぶつかる寸前にひらりと身を返した、運動神経の良さがさすがの、矢倉。おかげで正面衝突は免れた。
−−それにしても、真行寺といいこの人といい、今夜はみんな、慌ただしいなあ。
「悪い、葉山」
と、精悍な男前が笑う。  
「忙しそうだね矢倉くん」
今夜が特別なのか、それともいつもこんな感じ? 
「ああ、ちょっとな」
と矢倉。−−
あ、そうだ。これぞまさしく『せんざいいちぐうのちゃんす』ではあるまいか!
「じゃな」
と行きかける矢倉の肱をはっしとつかみ、
「訊きたいことがあるんだけど!」
よし、言えた!
「俺に? なに?」
矢倉が顔だけ振り返る。
「寝込みって襲ったことある?」
「ほぼ毎日」
矢倉の応えに、
「−−え!?」
絶句する。
・・・・・・・ほぼ毎日って、え? どーゆーこと!?
「去年の同室の奴がさあ、チョーゼツ寝起きが悪くてさ、毎朝寝込みを襲って無理やり起こしてたんだよ。今年は階段長だからさ、朝のその一手間が減って楽だけど、うりゃっ! って起こすと向こうも起きるが俺もテンション上がって、なにげに面白かったかな」
「へえ・・・・・・」
−−あれ?
質問にはちゃんと答えてもらったけど、ぼくが知りたいこととは違うぞ。
−−むむ、どうやって訊けば良いのだ?
「手」 
「え?」 
「俺をつかんでる葉山の手、そろそろ外してくんないかな。これでも急いでるんでね」 
あ、そうでした。
「じゃあな、葉山」 
「うん、ありがと」 
またダメだった。がっくし。
「そうだ、葉山」 
行きかけた足を数歩戻して、
「八津になら、まだないよ。そーゆーことすると嫌われそうだからな」 
と、矢倉が笑った。しかもニヤリと。
−−なんだ、質問の主旨、ちゃんと伝わってたんじゃないか。
だがしかし。嫌われそうなどと謙虚なセリフの割に、口調は正反対だったような・・・・・・? ともあれ、
「−−またいいようにからかわれちゃったよ」
そーゆーことしても、ぼくの印象の八津くんだと嫌わないようなような気もするけれど、大きなお世話なので、ここは黙っておく。あのニヤリ笑いのお返しに。
「そうだ。ついでに、八津くんに訊いちゃお」
「んーと、八津って、何号室だっけ?」 
このまま二階でいいのか? それとも、一階?
「そうだ!」 
こういう時に、ものしりくんに訊けば良いではないか。
「ギイ、部屋にいるかな」
寮の反対側の階段まで、二階の廊下を駆け抜ける。と、
「廊下を走るな!」 
すれ違った赤池章三に、肩越しに叱られた。−−やばっ!
「ごめん!」 
とっさに謝って、
「あ、赤池くん、八津くんの部屋番号知ってる?」 
ついうっかり、ギイではなく、章三に訊いてしまった。
「知ってるが、部屋に行っても八津はいないぞ。さっき学食で見かけたから」
学食か!
「ありがと!」
「だから走るな葉山!」 
章三の叱責を背中に受けつつ、猛ダッシュで学食に向かう。
学食に八津発見! が、しかし、彼の周囲には例の取り巻きたちが・・・・・・。うーむ。
ふと、八津と目が合った。
「あ」 と、八津の顔がほころんだ。そして、手招きしたわけでもないのに八津は、取り巻きから離れてぼくのところに来てくれた。
「八津くんて、寝込−−」
言いかけて、躊躇する。取り巻きが遠くから聞き耳立てるように興味津々にこちらの様子を窺っている、から、だけでなく、八津といえば、あの矢倉が、それはもう、大切に大切にしている人なのだ。たとえるならば、汚れのない清楚で可憐な白い花、のイメージ?
確かに、ぼくの印象では、矢倉に寝込みを襲われても八津が矢倉を『嫌う』ことなど絶対にない、と、思うのだが、そのことを面と向かって八津に訊くというのは、−−そんな質問、できないかも。
「葉山くん、ネコがどうしたんだい?」 
八津が訊く。
やぐらくんのねこみっておそったことある? −−なんて、ううう、やっぱり訊けない。
「そういえば、葉山くんのクラス担任の大橋先生、温室でネコを飼ってるんだって? その話?」 
と、八津。
違うけど、いっそ、そーゆーことにしてしまおうかっ!
あれだよね、ふとしたギモンだったけれど、みんな、どうなのかなって。でも、よーく考えたら、これってそーとー、立ち入った質問なんだよね。−−うわー。
(言え! 言うんだ、自分!!)
「ごにょごにょごにょごにょっ」
「え? なんだい?」
しまった、ちいさすぎたか。
「ごめん葉山くん、もう一度言ってくれる?」
八津が屈むように、更に顔を近づけた。超! 近距離! に、これ幸いと、ぼくはちいさなちいさな声で、
「八津くん、矢倉くんの寝込みって、襲ったことある?」
やった、訊けたぞ!
「寝込み?」
キョトンと八津が訊き返す。
「え? 寝込みを襲うって、寝てる矢倉にイタズラするとか?」
イタズラ?
「矢倉くんにイタズラしたこと、あるんだ?」
それはそれで、びっくりだ。
ぼくは絶対、寝てても起きてても、矢倉にイタズラなんて、一生できない!!
「俺はないけど」 
八津はちいさく笑って、
「前に誰かが、学生ホールでうたた寝してた矢倉の口に、あめ玉、包み紙ごと入れたことがあるとかって」
げっ。なんてこわいものしらずなんだ!!
「しかも、5個」
「えええっ」
「噂だと、犯人はギイなんだけど、・・・・・・この話」
八津は一瞬、間を置いて、
「知らなかったよね、葉山くんはね」
はい、知りません。でもぼくが噂話に疎い、という噂は、みんなが知ってます。−−いやはや。
「真偽はともかく、ギイあたりじゃないと矢倉にそんなイタズラしたら、後がとんでもないことになりそうだから、だからやっぱり犯人はギイだったんじゃないのかな、と、俺も思うんだ」
「うん、そうかも・・・・・・」
と頷きつつ、−−違うじゃん! そーじゃないじゃん! 寝込み!! 恋人として、どーなのだ、そこんとこ!
と、訊きたい。
「あの、つまり、寝込みは襲ったこと、ない、と?」
八津はふふふと笑うと、
「矢倉にイタズラなんて、俺だってこわくてできないよ」
いや、寝込みを襲うって、そーゆージャンルじゃないんですけど、ああ、どうしよう。
これならいっそ、矢倉の方に、八津の寝込みを襲ったことはないとしても、八津に寝込みを襲われたことがあるのかと、訊けば良かった。
うううーむ、自分のささやかな好奇心がウラメシイ。むずかしいじゃん、この質問!
「おい。さっきからなにふたりでいちゃいちゃしてんだよ」
頭上からいきなり不機嫌丸出しの声が降ってきた。
「あ、ギイ」
八津とぼくとふたりして、ギイを振り仰ぐ。
ふたりともいつの間にか、ちいさく背を屈めて、額を突き合わせひそひそ話していたのであった。
ギイは八津から離すようにぼくの腕をぐいと引くと、
「八津と何の内緒話ですか、託生くん?」
とにっこり笑って訊く。
−−目が、笑ってない。 こわいです。
「もしかして、怒ってる?」
「別に」
「なんで?」
「だから、怒ってない」
「なら、いいけど」
「で?」
「−−でって?」
「なに、さっきからこそこそと、ふたりで内緒話してるんだよ」
八津には聞こえないよう、ギイがこっそりぼくに言う。
「えっと、ちょっと、八津くんに訊きたいことがあって」
ぼくも八津には聞こえないよう、こっそりと応える。
「いつも言ってるが、わからないことがあるならオレに訊けばいいだろ」
「でも、八津くんのことで質問が・・・・・・」
こればかりはギイに訊いても意味がない。
「どんな質問」
「えーっと、ですね」
寝込みアンケートのことを話したら、ぼくが過日の例の出来事をすごく気にして、未だに引きずっているのかとギイに余計な心配をかけそうだったので、
「矢倉くんとその後、仲良くしてるのかな? とか」
「なんだそれ」 
呆れたようにギイがぼくを見る。
「なんでそんな大きなお世話な心配してるんだ?」
「だって、ほら、なんだかんだで、いろいろかかわってるし」 
彼らのいざこざから、あれこれと。
「あー・・・・・・まあ、そうか」 
渋々納得したギイは、
「やばっ。急ぎの用があるんだった」
と、顔を上げた。
そういえば、矢倉もなんだか急いでいたな。−−真行寺も慌ただしかった。
もしかして、今夜はみんなが忙しい日? アンケート、別の日にした方が良いのか?
またなとギイが立ち去ると、
「終わった?」
にこやかに八津に訊かれた。
「あ、待たせてごめんね」
謝ると、
「ぜんぜん」 
と笑う。
お世辞でなく、八津が本当に気にしてないのがわかる。繊細なのにどこかおおらか。鋭いのに、おっとりもしている。−−とても不思議な人である。
「でも葉山くん、俺もそろそろ行かないとならないんだけど」
八津が取り巻きの方をこっそり指さす。
そうでした、彼らを随分待たせてしまった。
「つきあってくれて、ありがと、八津くん」
寝込みの一件、ついにちゃんとは訊けなかったけど、よしとしよう。
別れ際、
「そうだ。あめ玉5つの真相、もし訊けたらギイに確かめてくれる?」
八津が言う。いたずらっぽく。
「うん、いいよ」
今夜のお礼に、引き受ける。
−−それにしても。
「誰か、さくっと教えてくれそうな人、いないかなあ」
辺りをきょろきょろ見回しつつ、学食から寮へ戻る途中、
「葉山くん、誰かさがしてるのかい?」
ひょっこり声を掛けてきたのは、
「野沢くん!」
おお、野沢くん! 天の助けか、はたまた、わたりにふね?(って、どこかで使ったな)
繊細そうな外見に反して、おおらかというか、ざっくばらんというか、−−恋人の駒澤に言わせると、ちょっとデリカシーに欠ける、らしいのだが−−むしろ、だからこそ、これ幸い?
特定の誰かをさがしていたわけではないのだが、
「さがしてるような、さがしてないような・・・・・・?」
ともあれ。 野沢くん! きみが声をかけてくれて、ぼくはとても嬉しい!!
「なんだい、それ」 
政貴が笑う。
「ちょっと訊きたいことがあるんだけど、急いでる?」 
今夜はなんだかみんな忙しそうだ。彼もかな?
「急いでないよ?」
良かった!
学生でざわざわしている寮の廊下、ぼくは周囲を見回して、人気のない壁際にそれとなく政貴を誘導する。
「訊きたいことって、受験のこと?」
「受験のことじゃあないんだけどね」 
−−寝込み。うーん。どう訊けば良いのだ。
「えっと、その後、駒澤くんとは、順調?」
「え?」 
政貴は驚いたように目を見開き、
「葉山くんに、そういう質問されるとは思わなかったな」 
と言った。
−−だよねー。
基本、立ち入らないよねー。
「どうかした? ギイと何かあったの?」 
逆に訊かれて、
「ううん、何もないです」 
ぼくは慌てて否定する。
普段しないようなことをすると、必要以上に心配されてしまうのは、仕方あるまい。
「なら、いいけど」
そう、おおらかでありざっくばらんであり、且つ、デリカシーに欠けていようとも、野沢政貴は友人として、とても思いやりのある優しい人なのである。
「あのさあ・・・・・・」
言いかけて、言い淀むぼくに、
「なんだい?」 
政貴が顔を近づける。
「えっとねえ」
知りたいけれど、訊きにくい!
でも、ここまできたら、−−よし!
「野沢くんて、駒澤くんの寝込み、襲ったことある?」
「−−はい?」 
キョトンと、政貴が首を傾げる。
「寝込み? 駒澤の?」
「・・・・・・うん」
ごめん、こんなこと訊いて。
下世話な質問して、ごめんなさいっ!
赤面して俯いたぼくに、
「そうだなあ、部屋が同じだった時は、そういうこともたまにあったかなあ」
「−−あった?」
ちいさくぼくが訊き返すと、政貴はまったく普通の表情で(これっぽっちも動じたり照れたり、そういうこともなく)、
「祠堂の冬は寒いから」
言って笑った。くすっと。
「え、どういう意味?」
「すごく冷え込んだ夜に、用事を済ませて部屋に戻った時に、駒澤が先にさっさと寝てたりすると、冷たい自分のベッドに入るより、あったかそうなそっちに行こうかな、と、考えるだろ?」
「−−あー、・・・・・・うん」 
曖昧に頷きつつ、自分に置き換えて想像してみた。
たいていはギイより先にぼくが寝てしまうので、そういう状況は昨年、あまりないといえばなかったのだが、たとえば先にギイが自分のベッドに寝てて、そしたらぼくはどうするだろうか? 
確かに、あっちの方があったかそうだなとは思うけど、でもやっぱり、自分のベッドに入る気がする。
つまり、実行に移すかどうかは甚だ疑問だけれども、考えるだけ、なら、そうかもしれない。
「もっとも、駒澤はそういうこと、しないけれどね」
政貴が続けた。
「え、そうなんだ?」
それって、したいけどしない? それとも、したくないからしないのか?
いや、あの駒澤瑛二のことだ、退学処分になるかもしれない自分の立場をこれっぽっちも省みずに、政貴を助けようとした駒澤なのだ、したくないってことは、ないよね。うん。
「我慢強いんだなあ、駒澤くん」 
ついうっかり、ぽろっと言うと、
「あはは」 
政貴が笑った。−−嬉しそうに。
そっかー。愛されてるなあ、相変わらず。
なんだ。恋人だから寝込みを襲うし、恋人だからこそ、襲わないことも、あるんだ。
−−なんだ。そうか。
愛情と、それ、と、これ、は、違うんだ。・・・・・・なあんだ。 良かった。
って、早々に結論が出てしまったよ、ぼくの疑問。せっかくいろんな人に訊こうかと思ってたのに。
「そういう葉山くんは、ギイの寝込み襲ったことあるのかい?」 
するっと政貴が訊く。
「−−え!?」 
ぼくはびっくり。
「そんなに驚かなくても」 
政貴が笑う。
「訊いたら訊かれる、くらいの覚悟は当然あっただろ?」
「え。あ。うん」 
一応それなりにあったけど、いきなりだったから、びっくりした。
「顔、真っ赤だよ葉山くん」 
言って、更に政貴が笑う。笑って、
「それから、例の、ギイとはただのともだちだから云々は、却下だからね」 
と、釘を刺す。
うわうわうわわ。
何と答えるべきか、あたふたするぼくに、
「なんちゃって」 
政貴は笑いながら肩を竦めて、
「質問には答えなくていいから。ちょっとからかっただけだから。葉山くんて、ついからかいたくなるタイプだよね」
愉快そうに続けた。そして、用事を思い出したからと、立ち去った。
−−ふう。
質問に答えてくれた政貴になら、逆に訊かれても良いというか仕方ないというか、むしろ当然、なことなのに、答えるつもり、ちゃんとあったのに、実際に訊かれると焦るものなのだな。
かてて加えて、気を遣われてしまった。
焦りまくるぼくを気の毒と思ったのか、訊かなくてもわかってると思われてるのか、はたまたそれ以外の理由なのかはわからないが、大人が子供にするように、さらっと流されてしまったよ。
「相変わらず葉山の百面相は面白いな」 
いきなり耳のそばで言われて、ぼくはぴょんと飛びのいた。
「お、脅かさないでよ赤池くん!」
「脅かしてなんかないだろ、葉山が勝手に驚いたんだろ」
「ちっとも気づかなかった! 気配消して近づいただろ!」
「そんな忍者みたいなことはしないよ、ギイじゃあるまいし」 
しらっと続けた章三は、
「そういや今夜はギイ、湧いて出ないな」 
周囲を巡らす。
「湧いてって、そんな、人を温泉みたいに」
「温泉もしくは原油?」
「どっちでもいいけど、そう都合良く、ひょいひょい現れたりしないから、普通」
「だよな。でもあいつ、葉山をいじってるといつもどこからともなく現れるよな。オレの葉山にちょっかい出すなと」
「や、別に、誰のとか、そういうんじゃないから」
「で、困ってる葉山をささっと助ける」
「だから、そーゆうのじゃなくて」
確かに、困ってる所をギイに助けられたのは一度や二度ではないけれども、
「さっきまでいたけど、今夜は用があるとかで、なんだか急いでどこかに行ったよ」
「なんだ、やっぱり湧いてたんじゃないか」
「だーかーらー」 
もう、まったく。
「今夜はみんな忙しそうなのに、赤池くんは暇そうだね」 
珍しく、のんびりしている。
「ああ、暇、暇。さっきやること終わったから、今はすっごく暇」
「−−連呼されると、やな感じがするんだけど」
あんまり暇暇続けざまに言われると、含みがあるのかと疑いたくなる。
「僕に八津の居場所を訊いておきながら、なんだって葉山が寮の廊下で野沢とがっつり話し込んでたのか、ちょっと気になったから声を掛けてみただけだよ」
「八津くんにも野沢くんにも訊きたいことがあったから」
「−−へえ? また何かのアンケート?」
「う、えっと、まあ、そうです」
恋人の寝込みを襲ったことがあるのかと、そーゆー下世話な質問をしているわけですが、
「僕には訊かなくていいのか?」
あ、赤池くんにっ!?
「え。−−えと、えーっと、ですね」
だって、そうしたら相手は奈美子ちゃんじゃないか。訊いてもいいなら訊くけれど、でもこれって、ある意味、三洲に訊くよりおっかない。
「はーやーま」
イラっと促されて、仕方なく、
「赤池くんて、寝込み、襲ったこと、ある?」 
こそっと訊いた。
「寝込み? 誰の」
冷静に訊き返されて、
「こ−−」
「・・・・・・こ?」
コワイ。
「えー・・・・・・と、誰という特定の相手があるわけじゃあないんだけど」
恋人の、だなんて、とても言えない!
「ギイの寝込みを襲ったことならあるけどな」
「えっ!?」
えええええ!?

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