秘密の小部屋
2011.01.01 (1/1)
目次
2011.01.01 00:11〜2011.01.08 22:51
あけましておめでとうございます。昨年は『(なんちゃって)祠堂の中庭で』におつきあいいただきありがとうございました。今の続きとは関係なくて恐縮ですが、松の内の間になんとか新年ネタとかやりたいものと画策ちうなう、です。よろしければおつきあいくださいね。本年もよろしくお願い致します!! via web
2011.01.01 00:11
地方によってまちまちらしいですが、本日8日、ぎりぎり松の内であろうとゆー前提のもと、お正月バージョン、スタートです。さほど長くはないですが、ツイッターで一気に来るとちょっとキビシイ向きもあろうかと思われますが、よろしくおつきあいいただければと。でございます。ぺこりm(__)m via web
2011.01.08 22:22
「あけましておめでとー!」
受話器の向こうから能天気な声が聞こえた。
「まだ明けてないんですけど……」
冷静に返すと、
「ほんの数分の誤差だろ? 細かいこと気にするなよ」
能天気なアメリカ人が陽気に続ける。
「ギイが大雑把すぎるんだよ」
真夜中の静岡の実家。例によって『睡眠命』の両親は既にどっかりと熟睡中。それでもぼくは、声を落としてギイに言う。
去年のギイは突然最寄りの駅から電話をしてきて、真夜中の森閑とした我が家に鳴り響いた家電話の呼び出し音にぼくをひやりとさせたものだがありがたいことに眠りの深い両親はまるきり起き出す気配はなくて、今年はどうするつもりなのかと思っていたら、ある意味案の定、ギイはケータイに電話してきた。
彼が帰省しているアメリカから、ギイに渡されていた、ぼくのケータイへ。
「そんなことより、今年もよろしくな、託生」
ぼくの突っ込みを含め、何事もさほど気にしないギイは、さくさくと次の話題に進んでゆく。
「だーかーら、まだ明けてないから。今年もよろしくしてあげてもいいけど、あと数分しかないから」
「じゃあ来年もよろしくでいいよ」
ギイが笑う、楽しそうに。
−−本当にこの男は、なにげに、いつでも、どんな時でも、楽しそうだよな。基本、そういう感じだよな。
「そういえば、ニュースで見たけどニューヨーク、とんでもない寒波なんだって?」
「ああ、豪雪。冗談じゃなく、スキーできる」
む。
「しないでよ」
「――あ?」
「雪で車が走ってないからって、こんな機会滅多にないからって、車道でスキーとか、しないでよ?」
「ぎくり」
と言って、ギイが笑った。
「わかった。もう、したんだ」
この男は、もう……!
「危ないじゃないか、万が一のことがあったら……!」
「安全確認はちゃんとしたから」
「そんなことは基本だろ?じゃなくて、事故っていうのは予測つかないアクシデントで起こるんだよ?万全を期してても起こるのが事故なんだから、わざわざそんな−−」
「ごめん託生、悪かったって。もうしないから、反省したから」
「−−本当に?」
「したした、すっげーしてるけどでもそれ以上に今、シアワセなキブン」
「はあ!?」
なんだよ、ちっとも反省してないじゃないか!
「新年早々、こんなに託生に心配してもらって、オレ、こんなにシアワセな幕開けはないなあ」
「心配してるんじゃなくて、呆れてるんだよ。いつも危機管理がどうのこうの言うくせに、なんだって車道でスキーなんて無茶なことを思いつくかなあって」
「怒ってたくせに」
ギイが言う、からかい口調で。
「怒ってないよ」
「いーや、さっきのは心配でも呆れてでもなく、怒ってた」
「そんなことないよ」
「でもオレ、託生に怒られるのは好きだなあ。愛されてるって、実感できるし」
ストレートな物言いに、返答に詰まる。
「……それは、だって」
大事な人だから、心配もするし怒りもする。呆れもするし、なにより、こうして電話してきてくれたことが、とても嬉しい。
だがしかし、それをそのまま言葉にする文化を日本人のぼくは持ち合わせてはいないのだ。−−と、いうことにしておきたい。日本人はシャイなのだ、アメリカ人のギイと違って、あんなにぺらぺらと甘ったるいセリフを並べたりできないのだ。
と、いうことに、しておきたい!
「だって、なんだよ?」
甘いギイのささやきが聞こえた時、
「――あれ?」
ぼくは気づいた。
「あれ?じゃないだろ、託生、なに誤魔化そうとしてんだよ」
「あっ、しまった、新年になっちゃった」
「はい?」
「ちゃんと目の前に時計置いてあって、12時ぴったりになったらギイにあけましておめでとうって言うつもりだったのに、もうとっくに12時すぎてる。あーあ」
「あーあじゃないだろ、なら今、言えよ」
「なあんだ、せっかくのタイミング、逃したなあ」
「オレはもう言ったぞ、あけましておめでとうを」
「ギイとくだらない言い合いしながらの年越しって、どうなんだろう」
「おい託生、くだらないとはなにごとだ」
「今年も1年間、こんな感じなのかなあ?」
それはそれで、平和で良いけど。
「おいっ!ちゃんと言えよ、挨拶は人間関係の基本だぞ!」
それはそれで、しあわせなのかなあ?
「託生、こら、聞いてんのか!」
たぶん、しあわせなんだろうなあ。
「あけましておめでとう、ギイ。今年もよろしく」
(おわり)
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