おふぃすらぶ(卒業後)
地下倉庫は危険な香り? (1/1)
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「ペーパーレスの時代だなんて言ったくせに!もう、どこにあるんだよ?!」
巨大な地下倉庫。
過去の遺物……否、資料の山を前に、ぼくは頼まれた物を探していた。
「このあたりかな…。八年前、九年前……あった!」
やっと見つけた十年前の資料。
しかし。
「どうして、あんな上に置いてあるかな」
全く手の届かない棚の一番上に、その資料の箱はあった。
これは梯子を使うしかないな。
ずりずりと奥から梯子を持ってきて棚に立てかけ、一段ずつ上る。ようやく資料に手が届いたとき、
「おい、見つかったか?」
「うわっ!」
突然かけられた声に悲鳴が上がった。
「なんだよ、それ。心配して見にきてやったのに」
「すみません。突然で驚いてしまって」
誰もいないと思ってたのに、こっちだって驚くに決まってるじゃないか。
ムッとしたままぼくを見上げている副社長に、
「会議は終わったんですか?」
と声をかける。
「終わった、終わった。部屋に戻ったら、お前いないんだもんな」
そりゃ、ぼくにだってやる事があるんだから、ずっと部屋にいるわけじゃない。と、言い返したって口で勝てないのはわかっているので、
「すみません」
おざなりに謝罪しておいた。
片眉をあげ、
「資料、それだろ?貸せよ」
素直に上から箱を渡すと、副社長は箱を受け取り足元に置いた。
そして。
「あの……」
「うん?」
「その手はなんですか?」
「いや、降りるの手伝ってやろうと思って」
「結構です」
「遠慮すんなよ」
「してません!」
ってか、どけよ、そこ!!
差し伸ばされた手を無視して、二段降りたところでペロンと尻を撫でられた。
「うぎゃ!」
「んー、感度ばつぐん」
「なに、してるんですか?!」
「託生くんのお尻を愛でてるところ」
「愛でなくていいです!ってか、降りるから、そこ……ぎゃーーー!」
まだ数段残っているのに、背後から両手を廻し、あちらこちらを遠慮なく撫で回す。
「やめてくださいってば!」
ちょ…ネクタイ外すな!ボタンボタン!!
こんのぉ、セクハラ上司!!
そのとき、ドア付近から女性数人の声が聞こえ、ギクリと動きを止めた。近づいてくる声に、自分の今の格好を思い出して、パニックになる。
そんなぼくを、梯子からペリッと引き剥がし、副社長は棚の影にぼくを押し込めた。息を潜めて様子を伺っていると、すんなり探し物が見つかったらしく、数分後に人の気配は消えた。
ホッと溜息を吐いて見上げると、じっとぼくを見つめている副社長の視線にギクリとする。
この状況、やばい。
「託生……」
「やっ……んんっ……」
壁に押し付けられ、腕ごと抱きしめられて、熱い口唇がぼくを覆う。流されてしまう自分が嫌になるくらい、キスが上手い。
頭の芯がぼーっと霞んできたとき、熱い手が胸元に差し入れられハッとする。
「セクハラだって、言ってんだ!」
「てーーーっ!」
容赦なく足を踏みつけ、腕の中から逃げ出した。そのままトイレの個室に駆け込み、震える手でボタンを留めていく。
そして数度大きく深呼吸し、心を落ち着かせた。
「あんの、セクハラやろう!今度コーヒーにデスソースいれてやる」
心密かに決め、トイレのドアを開けた。
あ、資料、どうしよ。
(2011.6.25 小話ついったー)
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