小話ついったー
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2017年05月26日(金)
ギイ 戦士 勇者
ショーゾー 魔法使い 魔法戦士
ミス 僧侶 賢者
ハヤマ 吟遊詩人 天地雷鳴士
シンギョージ 武闘家 バトルマスター
ヤグーラー 笑わせし ゴッドハンド
ヤツ 盗賊 パラディン
カタクーラ 羊飼い 魔物ハンター
ヨシ=ザワ 船乗り 海賊
タカバヤシ 踊り子 スーパースター
「くそっ」
オレ達の力ではナ=オトに勝てないのか?
馬車に残っているのはハヤマ一人。あいつに戦わせるわけにはいかない!
「ギイ……!」
「その体で僕に勝とうなんて、無理だよ」
「ぐっ………!」
さっと上げられた右手で、軽くオレを弾き返す。そのとき、馬車から人影が飛び出し、横たわったオレ達の前に歩み出て、ハヤマはナ=オトを睨みつけた。
「やっと出てきたね、タクミ………僕の弟」
「タクミ……?」
「弟………?」
うっとりと夢見るように呟いたナ=オトの言葉に、呆然とハヤマに目をやる。
ハヤマがナ=オトの弟?
「………兄さん」
「タクミ、どうしてそこにいるんだい?お前のいる場所はこちらだろう」
「ぼくは、そちらには戻りません」
「人間と魔族が相容れるわけないだろう?馬鹿な事を言ってないで戻ってきなさい」
「いやです!相容れないからと言って、どうして人間を傷つける事ができるのですか?!」
「そんなちっぽけな生き物、この世に必要はないんだ。僕とお前さえいれば、それでいい」
そんなナ=オトの言葉にハヤマの顔が嫌悪感で歪み、そして何かを決意したように口唇を噛み締めた。
「ぼくは、皆の笑顔を守りたい」
ハヤマは額を覆っている飾りの金具を外した。そこに浮き出たのは魔族を表す金色の印。
その印を見たとたん、遠い遠い子供の頃の暖かな記憶が蘇った。城を抜け出して行った湖の畔で、オレはハヤマに…いや、タクミに会っている。
「こんなぼくでも、仲間だと言ってくれたんだ」
ハヤマはリュートを床に置き、両手を高くあげて呪文を唱えだした。
「あの呪文は………」
「ハヤマ、止めろ!」
「命を引き換えになんてするな!」
「馬鹿な事は止めるんだ!」
口々に止める仲間達にハヤマは儚い笑顔を見せ、
「今までありがとう」
そう呟くと、手の中で光る球体を一気に膨らませ、
「メガンテ!」
一直線にナ=オトに向かって走り出した。
「タクミ、どうして………」
「ごめん、兄さん………ぼくも一緒に行くから」
「ダメだ、止めろ!タクミーーーーッ!!」
ナ=オトとタクミを包み込んだ目もくらむような光に一瞬目を閉じた直後大きな爆発音が響き、そして目を開けたときには全てが終わっていた。タクミが立っていた場所には、いつも大切そうに抱えていたリュートがぽつんと取り残されている。
ヨロヨロと馬車の中から魔法の聖水を取り出したシンギョージが、はいずって瓶をミスに手渡した。
「ベホマラー!」
一気に飲み干したミスの呪文に全員のHPが回復したが、心に苦い物を走る。目の前で、タクミが消えてしまったのだ。
「タクミ………」
なにもできなかった。オレが守ると決めたのに………!
「ハヤマは消えてないよ」
「えっ?!」
ヤツの言葉に、全員が驚きに目を見張る。
「ナ=オトが、反射光に巻き込まれる前に、どこかに飛ばしたみたいだ」
「本当か?!」
「盗賊の動体視力を甘く見ないで欲しいな」
「それでも、あの呪文は自分の命と引き換えに敵を滅ぼす究極魔法だ。飛ばされたとしてもハヤマが危ない」
「なぁ、ハヤマはどこに飛ばされたんだ?!」
オレの言葉に反応したように、月のリュートがふわりと浮き上がり一筋の光を指し示した。
2015年03月18日(水)
「………これ、なに?」
「なにって、託生の脳の画像」
「は?」
「定期健診行ってきたろ?」
「そうだけど……」
「CD−ROM貰って来たじゃないか」
「……そうだけど」
「だから、その画像を入れてるんだ」
「なにが『だから』かわからないよ!」
「これも託生なんだ。託生の写真なんだ。それを入れて、どこが悪い?」
「悪くはないけど………気持ち悪くない?」
「気持ち悪い?どこが?託生の全てを愛しているオレが、託生の写真を見て興奮しないわけ……ぐぇ」
「こんな脳の写真で興奮するな」
2014年12月15日(月)
「崎義一、29歳。明日、世界が滅びるとしたら、今日、何をやるだろう。その答えと、オレが今やってることが同じでありたい」
「むりむりむりむりーっ!連日は、むりーっ!」
「崎義一、29歳。もう一度、妻を口説こう 」
「もう、いいよギイ……」
「いや、まだまだ」
「充分気持ちは伝わってるから、寝かせて………o( _ _ )o…zzzzzZZ」
「崎義一、29歳。わんぱくでもいい。逞しく育ってほしい」
「聞いてるの、ギイ?!」
「はいっ」
「子供達を止めるのならまだしも、率先して走らない!」
2014年12月11日(木) Blogより転載
(2010年10月6日分 困ったおもちゃ箱内「もしもあの子が先生だったらPert2」関連)
ぼくのこめかみから肩口まで、崎先生の熱い口唇が移動する。ピリッと痛みを感じた箇所は、赤い印が残っているのだろう。
膝の上にぼくを乗せ、体を優しく撫でる大きな手が時折乳首をかすめ、そのたびにぼくの体が仰け反った。
「あ・・・・ぁ・・・・・・・」
「託生・・・・・・・」
汗で滑る崎先生の肩を必死で掴み、甘い責め苦に耐える。
「託生・・・・・・好きだと言ってくれ」
「え・・・・・・・・んん・・・・・・!」
ぼくの耳に口唇を寄せ、崎先生が強請る。
「託生・・・・・・?」
「ん・・・・・好き・・・・・・せんせ・・・いが・・・・好き・・・・・・・あぁ!」
ぼくの言葉に、体を突き刺す腰の動きが激しくなった。
2014年12月11日(木) Blogより転載
(2007年8月17日分)
四月、快晴、日曜日。
ぼくは半分、気分が重かった。
「葉山先生、おはようございます」
「おはようございます。利久君、おはよう」
笹かまぼこの老舗の息子、片倉利久がお母さんの手にひかれてやってきた。
「じゃあ、利久、先生の言うこと聞いて、いい子にするのよ」
「わかってるよぉ」
「先生、お願いします」
「はい。お預かりします」
バイバイと手を振って見送っていた利久は、車が見えなくなると途端不服そうな顔をした。
「日曜に、お泊りなんてサギだよなあ」
「そうかな?」
「だって、休みが1日なくなるだぜぇ。損した気分・・・」
子供らしい拗ねた顔に、
「可哀想だね利久君、よしよし」
まあるい頭を撫でると、にまーと笑って、
「お部屋に行ってくる」
と駆け出していった。
ここ、祠堂学院幼稚園では、今日から年中さんが1泊2日のお泊り保育である。
昭和ひとケタに創立された歴史あるこの幼稚園は、良家の令息が多数通うことで有名なのだが、たまたま中山先生に声をかけられ先生になってしまったぼくは、あとになって知ったのだ。
個性豊かな(ある意味、幼稚園児はこういうものなのかもしれないが)傍若無人なわがままっぷりを発揮する園児達に振り回される毎日なのだが、今日はしかもお泊り。
「何事もなく終わってくれたらいいんだけど・・・」
園児たちが待っている教室に足を向けた時、突然、足に何かがあたり、小さいものが転がった。
「な・何するんだよ!」
「大丈夫か高林、どうしたんだ?!」
え・・・・・?
女の子に間違われるくらいの可愛い顔をしながら、癇癪玉のようなわがままで、先生方がほとほと手を焼いている高林泉。
しかしながら、その可愛さにクラクラした(幼稚園児がクラクラするのか?)数人が親衛隊を作り、金魚の糞のようにくっついている。
「そいつ、わざと僕にぶつかってきて謝りもしないんだ!」
とたん、親衛隊4人がぼくを取り囲み、きつく睨みつけてきた。
相手が幼稚園児とはいえ、取り囲まれれば行き場はない。
「謝れってんのが聞こえねえのかよ、このヤロー!」
はぁ、どこぞのヤクザじゃないんだから。第一に、これが良家の令息というのなら、跡取りの育て方間違ってる。
後から親に告げ口されて乗り込んでくるかもしれないけど、ここは先生らしく注意をするのが筋だな。
そう決めて口を開こうとすると、
「随分と威勢がいいじゃないか、山下清彦くん」
高い、冷静な声が辺りに響いた。
「赤池章三」
「僕が見ていた限りでは、葉山先生が高林君にぶつかったとは到底見えなかっただがね」
大学教授の父を持っているせいか、歳を10歳ほど誤魔化しているんじゃないかと思うほど、冷静沈着という言葉が似合う赤池章三。
今年ぼくのクラスになる、あのギイの親友だ。
「畜生、覚えてろよ!」
捨て台詞までヤクザ調に、5人が逃げていった。
「おい、先生は先生らしく対応をしろよ。親の顔色見ていたら舐められるだけだぜ。世間知らずだな」
ぐっ。
あのね。君の歳×4倍は世間を見ているはずなんだけど。
でも、言い返せない自分がいる。
赤池章三は言い残し、園庭に走っていった。
「もしかして、幼稚園の先生なんて向いてないんじゃないのかな」
落ち込んでいる暇はないのだけれど、こうまで言われると落ち込んでしまう。
「葉山せんせーーーい!」
「あ、はい!今行きます!」
そうだ。今日はものすごく忙しい日だったんだ。
ぼくは気持ちを切り替え、教室に向かった。
ここまでっす。
2014年12月07日(日)
精一杯、あのイラストで考えてみた。
「なに、やさぐれてるんですか?託生さんと南国に避寒すると、先日言われてませんでしたか?」
「………仕事だってよ」
「まぁ、普通の方はそうでしょうね」
「なんだよ。その含みのある台詞は」
「貴方のように暇を持て余している人間は、この世に少ないと言ってるんです」
「……別にいいじゃん。充分働いたんだから。一生分の食い扶持だけじゃなく、世界中遊びまわっても、まだまだ余るぞ」
「今から隠居老人やって、どうするんですか」
「島岡、うるさいぞ」
「デートに振られるだけじゃなく、いつか託生さんに愛想をつかされるかもしれませんね」
「うっ………」
って、感じかなぁ……。
2014年11月29日(土)
モーレツ困っていたんです関連
矢「甘いっ!」
ギ「………そうか?」
矢「甘い、甘すぎるぞ、ギイ」
ギ「じゃあ、矢倉はそういう場面に遭遇したらどうするんだ」
矢「広げて堪能、匂いを堪能!」
ギ「おまっ…!」
矢「そして頭にかぶって気が済むまで裸踊りをだな」
ギ「やるか?やるのか、矢倉?」
矢「やるしかないだろうが。そこを突きぬけてこそ漢(オトコ)だ!」
ギ「いや、やりたかったんだが、一応イメージってものがだな………」
矢「いいかげん壊れてると思うぞ、俺もギイも」
ギ「………矢倉、漢だな」
矢「おぉ!」
章「お前ら。それが階段長会議でする話題か?」
………そーゆーシーンを入れようかと何度も書いて消していた私が、一番ぶっ壊れていると思います;
2014年11月20日(木)
世界に名をとどろかせる財閥崎家と貧乏な旧華族葉山家
「いつまでもフラフラしないで、身を固めなさい」
「なにがなんでも逆玉に乗って、葉山家を守るのです」
「「………男?!」」
「どこで行き違いが」
「妹君だと聞いていたのに」
「真面目なご子息に倣って、長男の自覚を持ってくれれば」
「友人になって妹君との橋渡しを」
「うわぁ、すっげぇ可愛い。このチャンスを逃してなるものか!」
「うわぁ、外人………」
「友達からよろしく」
「はぁ………」
………続かないので、ボツ。
2014年11月05日(水)
「崎義一、29歳。私、脱いでもすごいんです」
「………あの脱ぎたがる癖、どうにかならんのか、葉山?」
「言い疲れて諦めたよ………」
「崎義一、29歳。うまいんだなぁ、これが!」
「ぎゃーーーっ!おろせ!おろして、ギイっ!」
「崎義一、29歳、イインダヨ!グリーンダヨ!」
「……誰だ、あのお祭り男にバカ殿メイクを教えたのは?」
「あそこにいるよ。同じメイクをして」
「………矢倉ぁぁぁぁぁ」
2014年11月04日(火)
「崎義一、29歳。どうしてもあなたに会いたい夜があります。きっときみは こな〜い ひとりきりのクリスマス・イブ(* ̄0 ̄)θ〜♪」
「………いつまで拗ねてるんだよ?仕事なんだから仕方ないだろう」
2014年11月03日(月)
「崎義一、29歳。ド●ホルン●ンクルを使ってます」
とかで、パックしてる顔があったら吹くな。
崎義一、29歳。カッコイイとは、こういうことさ。
崎義一、ピッカピッカの〜29歳。
………これは無理があるな;
崎義一、29歳、にじゅ〜よじか〜ん たったか〜えまっすっか り〜げい〜ん り〜げい〜ん(* ̄0 ̄)θ〜♪
崎義一、29歳。もっと あいして なが〜く あいして(づ ̄ ³ ̄)づ
「崎義一、29歳。100人乗っても大丈夫!」
「ギイって、頑丈なんだね〜」
2014年11月02日(日)
「崎義一、29歳。違いが分かる男 ダバダ〜 ダ〜ダ ダバダ〜 ダバダ〜(* ̄0 ̄)θ〜♪」
「………葉山、あれを止めろ。耳障りだ」
「無茶言わないでよ。ぼくがギイを止められるわけないだろ?」
2014年10月10日(金)
東京都・原宿に「壁ドンカフェ」が登場 -男性も体験できる! | マイナビニュース news.mynavi.jp/news/2014/10/0...
「壁ドンカフェだって」
「壁ドン?それならいつでもオレが…!(ドン!)」
「ギイ、好きだよね、壁ドン」
「はい?」
「最初から壁ドンだったよね?」
「……それは進歩がないって言いたいのか?」
「そうじゃないけどさ」
「なんなら、床ドンでも天井ドンでも!」
「………遠慮します」
2014年08月23日(土)
「お?」
「どうしたの、ギイ?」
「………肉」
「は?」
「託生。章三ん家に行くぞ!」
「はぁ?って、ちょっと、ここNY………ギーイーーーッ!」
「お前ら………」
「章三に頼みがあって来た」
「断る」
「聞く前に断るな」
「断りたくなるだろうが!なんだ、そのスーパーの袋は!しかも、五袋!いや、それよりも、その飛び出ている骨だ!どこから調達した?!」
「よくぞ、聞いてくれた、章三。なかなか苦労したんだ。これはな……」
「聞かん」
「まぁまぁ、章三君、これを見てくれたまえ」
「嫌だと言ってるだろうが!」
と言いつつ、無理矢理見せられた動画が、これ(PCのみかもしれません)
「ほー、燻製にするとは、なかなか考えているな。豚バラで包み込めば、香ばしさもアップするだろうし」
「だろ?しかも、残った場合の対処方法もある」
「ケバブもいいが、ベーコンクラブサンドならぬ、ビーフクラブサンドでもいいな。野菜もマスタードもたっぷりで」
「材料は全てここにあるぞ、章三」
「むむむ、これは作らなければ、男の沽券に係わる。よしっ、作ろうじゃないか」
「よっしゃー!」
「その代り、お前らも手伝えよ」
2014年07月29日(火)
「託生、来週の火曜日……」
「土用の丑の日だよね。うな重食べなきゃ」
「いや、そうじゃなくて」
「え、ギイ、うな重好きだろ?」
「好きだけどな。じゃなくて!」
「足りない?じゃ、鰻巻きと肝吸いも用意しようか?」
「美味そうだな。……違うぞ!もっと大切なものがあるだろうが!」
「大切なもの………デザート?仕方ないなぁ。差入れに貰ったうなぎパイもつけるよ」
「お前、一人でうなぎパイを食べるつもりだったのか?」
「そうじゃないけどさ。晩ご飯は、うな重と鰻巻きと肝吸いとうなぎパイでいいよね?」
「あぁ……そうじゃない!託生、お前、ほんとに忘れてるのか?大切な大切な、この日を!」
「知ってるよ。29日は」
「29日は?」
「毎月、肉の日」
「………託生、鰻、山盛り用意しておいてくれよな」
「はい?」
「ベッドの中で、思い出させてやる」
2014年07月16日(水)
「ぎっくり腰ですね」
「そんな簡潔に……てーっ!」
「情けないですね。毎日、蝶のように色々な花に飛び回っている貴方が」
「ここぞとばかりに、嫌味かよ」
「そのように取られるとは心外ですね」
「………お前、ストレス溜まってるだろ?」
「とりあえず医者を呼びましたから、診察を受けてくださいね」
「はいはい。どっちにしろ、ここから動けないんだからな。大人しくしてるさ」
「では、看護士を置いていきますので、なにかありましたら言ってくださいね」
「………で、この痛みは我慢しろって?」
「いえ、ぼくがブロック注射打つんで、すぐに楽になりますよ」
「………は?」
「じゃあ、下着下ろしますね」
「ちょ………ちょっと、待て!いてぇ!」
「ほら、無理に動くと痛いでしょ?注射一本で楽になりますから、ほらほら」
「ほらほらじゃない!勝手に下ろすな!待て!待て待て!」
「なに、恥ずかしがってんですか?」
「………名前は?」
「はい?」
「お前の名前」
「………注射打つのに、名前が必要なのでしょうか?」
「オレには必要」
「わかんない……っと」
「げっ」
「力、入れないでくださいね」
「患者の同意なしで………」
「痛いんでしょ。すぐに楽になりますから」
「いや、楽にならない。たぶん、ずっと痛いまま」
「はぁ?」
「この胸の痛みは、ずっと消えそうにないんだ」
「ぎっくり胸?」
「なわけあるか?!」
「…………変な患者さんに、当たっちゃったなぁ」
2014年04月30日(水)
「この浮気者っ!」
「どこが浮気なんだよ?!」
「オレ以外の男を誉めること自体浮気だろうが!」
「ギイが、言ったんだろ!イチローはすごいって!」
「……オレが?」
「そう、ギイが」
「そうか」
「そうだよ」
こういうことでしょうな。たぶん。
2014年4月18日(金)ブログより転載
「逃げるか?」
ポツリとギイが言った。
「……どこに?」
おもちゃ箱をひっくり返したような雑然とした景色から目を離さず、ポツリと答える。
「月の果てにでも」
できるわけがないのを承知で、ギイがジョークに本心を紛れ込ませた。
日本とアメリカ。二人の気持ちは変わらないのに…いや、日々募る想いがこれまで以上に膨れ上がり、離れている方が不自然に思えてくる。
でも、状況がそれを許してくれない。ぼくにはぼくの。ギイにはギイの。それぞれいるべき場所がある。
まだ未成年のぼく達が勝手できるほど、世の中は甘くない。
「逃げるか?」
ポツリとギイが言った。
「……どこに?」
おもちゃ箱をひっくり返したような雑然とした景色から目を離さず、ポツリと答える。
「とりあえず、二人きりになれる場所」
横目でチラリとうかがうと、いたずらっぽくギイが笑った。
振り返らずとも背後に数人のSPがついているのはわかる。ギイとぼく、それぞれのSPが集まっているから5人ほどか。
「逃げられると思う?」
ギイはいいけれど、ぼくは特別足が速いわけじゃない。
「んー、展望台のエレベーターに飛び乗るタイミングが味噌だよな……久しぶりのデートなんだ。SPなんて、糞食らえ?」
「……お説教は逃げないでよ」
「はいはい。そのときは二人で怒られような」
言うなり繋いだ手に力を込め、閉まりかけたエレベーターに向かって走り出した。
2014年2月9日(日)チャットルームより転載
「ギイ………?」
「何も言わずに消えて、すまない」
やっとオレ達を取り巻く障害物を取り除き、その足で託生の下に来ることができたオレに目を見開き………ん?
なんだか、託生の様子が変だぞ。
「まただ?」
「はい?」
「ぼく、夜に夢を見るだけじゃなくて、白昼夢まで見るようになっちゃったんだ」
一人納得したようにブツブツと呟く託生を見て、
「白昼夢じゃないって、オレだって。ギイだ!」
と叫ぶものの、
「あー。幻覚だけじゃなくって幻聴まで聞こえるなんて……。しっかりしなくちゃ、ギイに怒られちゃう」
頭をふるふると振って、泣きそうな笑顔を作った。
「オレは、ここにいるだろうが!」
「よく、そうやって怒鳴られたよね。懐かしいなぁ」
「おい」
実体と見てもらえず、がっくりと肩を落としながら、おもむろに託生の腕を掴んだ。
その感触に、ハッと託生が息を飲む。
「ギイ?」
「だから、オレだって言ってるじゃないか」
「いや、そんなはずないよ。ギイがここにいるはずない」
「いるの!じゃ、オレは誰だって言うんだよ?!」
「………変装が得意な誰か?」
オレは、ルパン三世かっつーの!
「あー、じゃあ、質問してみろよ。なんでも答えるから」
「ぼくの誕生日は?」
「2月18日」
「2年生のときの寮の部屋番は?」
「305号室」
「3年生のときは?」
「270号室」
「……でも、知ってる人は知ってるよね」
確認するように首を傾げ、うーんと悩む託生の姿に凹む。
なにが、なんでも他人にしたいか?!
「そんな質問より、二人しか知らない記念日を尋ねたらいいだろう?」
「記念日?」
「あぁ、6月7日。二人の記念すべき初エッ………いってーーーっ!」
「ギイのスケベ!」
「………お前、わかってんじゃん!」
【再会で遊ぼう第四弾、信じてもらえない?編】
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