瞳(2003.4)
「寒くないか?」
「………うん」 分刻みのスケジュールを縫って時間を作ってくれたギイが、ぼくの肩を抱きながら呟くように訊いた。 「託生?」 「………うん」 抱いていた肩を優しく引き寄せて、キス。 甘い吐息とコロンがぼくを包んで、今までの寂しさを溶かしていく。ギイの心が、ぼくと一緒だったと、柔らかな口唇が教えてくれた。 口数の少ないぼくに、情熱的なキスではなく、想いを伝え合う為の優しいキスを繰り返すギイ。 愛してる………。 音にならない言葉を、ぼくの中から取り出して、もっと深い想いをぼくに注いでいく。 ギイの瞳に映るぼくを見て、何故か涙が出てきた。 ギイは慌てるわけでもなく、 「わかってるよ」 と、抱き締める腕に力を込めた。 ギイの瞳には、ぼく。 ぼくの瞳には、ギイ。 いつでも映っていたくて、映していたくて………。 時計のアラームが鳴るまで、ぼく達はただ抱き合っていた。 詩なのかSSSなのか、自分でもよくわかってなかったりします………。 一体、何が書きたかったんだ?! |