Destiny(卒業後)

こちらも卒業後のある一つの選択をした話です
(履歴順ではなく、時間軸でタイトルを並べてあります)

Destiny (2001.10) 改訂(2007.8)

 深い深い闇の中。光を求めて彷徨い歩く。そしてひとつの光を見つける。
 顔は朧気でわからない。黒曜石の瞳だけがオレを射る。
 オレは右手を伸ばし、そいつに触れようとした。

ashtray (2003.4)

「ギイ………?」
 ゆっくりと注意深くベッドを降りたはずのオレの背後から、掠れた囁くような声。
 無意識だろうか、うつ伏せになったまま伸ばした左手で、隣にいるはずのオレを探す。

confess(2010.9)

 デスクに向かい今日の報告書を仕上げ、明日のスケジュールを確認する。手馴れたいつもの仕事。
 真夜中の12時近いと言うのに、ここFグループ本社ビルは人の気配が消えることはない。いや、365日24時間稼動し続けている。

bond(2010.10)

 島岡が帰った後、今日は休講だと言う託生をもう一度ベッドに誘い、半ば失神するように崩れ落ちた託生を胸に抱きしめたのが夜明け前。
 そのまま託生を腕の中に閉じ込め、今日のスケジュールとこれからの動きをシュミレーションする。

distance(2010.10)

 これを託生マジックと言うのだろうか。
 いつもなら鬱陶しいくらい長引く仕事が全てすんなりと纏まり、予定通りの時刻、車が本社に滑り込んだ。
 そのまま自分のオフィスに戻り、人払いをする。

幕間(2010.11)

「ただいま、託生!」
「お帰り、ギイ」
 ノックもなしに鍵がカチリと解除され、子供のような表情で飛び込んできたギイに、ぼくはまるで305号室にいるような既視感を感じ反射的に返事をし振り返った。

小さな記憶〜After〜Destinyバージョン(2011.4)

 少ないとは言え、それでもそれなりに詰まっているクローゼットの中身をダンボールに入れていく。隣のキッチンに置いてある食器などは新しいマンションの方に全て揃っているので、これまたギイが処分する為にダンボールに詰めてくれているはずだ

Honey 完(〜2003.4)

 カーテンの隙間から入る明るい日差しと、どこかから漂うトーストの香ばしい匂いに目が覚めた。
 眠い瞼を擦りスリッパを履いてドアを開けると、
「おはよう、託生」
 麗しい笑顔のギイ。

siphon(2004.12)

「ギイ、そろそろお茶にしない?」
 ノックと同時にドアが開かれ、隙間から託生を顔を覗かせた。
「そうだな………。託生はバイオリンの練習終わったのか?」

 
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