Honey 2

暗い………。
 
 
ここは、どこだろう………。
 
 
何も見えない。何も聞こえない。
風の音さえしない、森閑とした空間。
 
 
「ギイ………どこ…………?」
 
 
怖いよ。一人にしないで………。
「うっ!」
瞬間、目がくらむような強い光が、ぼくを包んだ。
咄嗟に両腕を上げて、顔を背ける。
ゆっくりと瞳を開けて腕を外すと、スポットライトの光がぼくを包んでいた。
 
 
あぁ、ここは舞台なんだ。
 
 
いつの間にか、ぼくの手中にはバイオリン。
そして目の前には誰も座っていない、一脚の椅子。
 
 
あの椅子に座るのは、ギイ。
 
 
根拠も何にないけれど、なぜかぼくは瞬時に理解できた。
 
 
バイオリンを弾かなくちゃ。
ギイにバイオリンを聴いてもうんだ。
 
 
ぼくはバイオリンを構え、弓を引いた。
ぼくの心を映し出す音色。
ギイを求めて止まない、ぼくの心。
 
 
ギイ。早くぼくの想いを聴いて。
 
 
バイオリンをかき鳴らし、たった一人の観客を待つ。
でも、いくら経ってもギイは現れない。
どれだけ、君を求めてもぼくの心は届かない。
 
 
ギイ………!
 
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