とにかく困っていたんです(2010.9)
「やっぱり困っていたんです」の続き(おまけ)です。
バスルームのドアが開く音に無意識に視線を向けたオレは、目の前に飛び込んできた光景にあんぐりと口を開けた。 「もう、ギイが急かすから、着替え持っていけなかったじゃないか」 「………………」 「バスタオルも、昨日のを使うしかなかったんだよ」 「………………………」 「着替えたら交代するね」 「………………………………」 託生は、細い腰にバスタオル一枚を巻いてタンスから着替えを取り出し、もう一度ドアの向こうに消えていった。 ………今のは、夢だったのだろうか。 思わず、自分の頬を抓る。 「………痛い」 痛いということは、今見たのは現実だということだ。 と、回転が悪くなった頭で考えてみる。 暖まってほのかなピンクに染まった肌と、綺麗な桜色した二つの果実。バスタオルが少しずれたのか、尻の丸みを分ける窄みが覗き、張り付いた布地が体の線をハッキリと写していた。 そして、着替えを持っていなかったということは、 「もしかしなくても、ノーパン?!」 あの布地の中には、託生のアレが………。 「うっ!」 オレは、顔を上に向け手で鼻を塞いだ。 急速にあちこち血が集まっていくような気がするのは、たぶんオレの気のせいじゃない。 「ギイ、シャワー空いたよ」 遠くで暢気な託生の声がする。 「ギイ、どうしたの、風邪引くよ?」 バスタオルで頭を拭きながら、託生がオレを覗き込んだ。 しっかり服を着込んでいるのに、オレの目にはさっきのセミヌードが重なって、 「熱出てきそう………」 「ちょっ………早く、暖まっておいでよ!」 慌てた託生に今度はオレがバスルームに急き立てられたのだが、洗面所のボックスの中に無造作に投げられた白いポロシャツが目に映ったとき、オレの分身が………果てた。 自己嫌悪と下半身の気持ち悪さに、力なくその場にしゃがみこむ。 オレ、もうダメかも………。 「やっぱり困っていたんです」のおまけで書き始めたものの、思っていたよりも長くなってしまったので分けました。 たぶんギイは、○| ̄|_ となっていたことでしょう。 というか「困っていたんです」、カテゴリー分けたほうがいいのでしょうか………; (2010.9.28) 《追記》 『困っていたんです』をカテゴリー分けしました。 (2010.9.29) |