Time after Time(2004.12)

『Pipipipi……』
 
「う………ん」
 もう、朝か。
 目覚ましの音に、オレは手探りでサイドテーブルに手を伸ばし、目覚ましのスイッチを切った………はずだった。
 
『Pipipipi……』
 
 ん?
 スイッチを切ったのに、どうして、まだ目覚ましが鳴っているんだ?
 と、ぼんやりとした頭で考えていたら……。
 ひとつ、ふたつ、みっつ………盛大にハーモニーを奏でだした電子音に一気に目が覚め、ガバッと起きた目の前には山ほどの目覚し時計。
「なんだ、これ?!」
 とりあえず、ひとつひとつのスイッチを切り、ようやく止め終わった時に、気がついた。
「ここ、どこだ?」
 目の前には大きなドア。今まで寝ていたのは大理石の上。
 キョロキョロと周りを見回して、ここが玄関ロビーだというこはわかったが……。
「なんで、オレ、こんな所で寝てるんだ?」
 冴えない頭で昨晩の事を思い出す。
 付き合いで飲んで、車に乗り込んで、それから………。
 思い出せん。
 とりあえずシャワーでも浴びて、それから考える事にしよう。
 託生が掛けてくれたらしい布団と山ほどの目覚し時計を抱え、寝室のドアを開くと、薄暗い部屋のベッドの真ん中に託生の姿が見えた。
 ソファに両手に抱えた物を置き、ベッドの側に忍び寄る。
 託生は、特別寝相が悪いというわけではない。だから、寝る時の位置と起きた時の位置は、そんなに変わるものではない。
 という事は、初めから託生は真ん中で寝ていたわけだ。
「オレ、昨晩、なにか託生を怒らせるような事をしたのか?」
 自問しても答えが出るはずがなく、仕方なくバスルームへと向かった。
 
 
 いつもより熱い湯を頭から掛け、ふーっと溜息を吐く。硬い大理石の上で寝ていたせいか、体の節々が凝り固まり、体を動かすたびにバキバキと音が鳴った。
 しかし、妙な違和感が……。
「オレ、柔らかい何かの上で寝てなかったか?」
 玄関ホールに柔らかい物があるはずがないし、事実、大理石の上で直接寝て現在体が痛い。
 しかし、物凄く寝心地のいい何かで寝たような気がするのだ。
「そういや、託生とSEXをしたような、していないような……」
 下半身の記憶は全然ないのだが、すっきりしていない様子を見るとSEXはしていないのだろう。
 釈然としないままシャワーの栓をきゅっと止め、バスローブを羽織ってガシガシと頭を拭きつつドアを開けた。
 そこには、まだ夢の中の託生。
 考えを纏めてみると、SEXはしていないようだがそれらしい事があり、柔らかい何かの上で寝て、託生は怒っていると。
「もしや………」
 恐ろしいシナリオが頭に浮かんだとたん、すっこーーんと抜けていた記憶が蘇りオレは頭を抱えて座り込んだ。
 託生を襲ったままその場で爆睡したなど、その気にさせられて放っておかれた託生の立場を考えれば許される事ではない。
「最悪、禁欲を言い渡されるかも」
 それは、ヤバイ。
 タダでさえ可愛らしい託生の寝顔に、すっきりしていない下半身が反応し始めているというのに、これで禁欲と言われたらのた打ち回るぞ、オレ。
「なんとか手を打たなければ……」
 とは言っても、もう既に時間が迫っている。
 託生を起こして……いや、寝起きの悪い託生を無理矢理起こして、余計機嫌が悪くなっても困る。
 かと言って、何も言わずに仕事に行くのも憚られる。
「とりあえずメモを残して、帰ってから謝り倒すしかないな」
 そう結論付けテーブルの上にメモを置き、もう一度ベッドに近づき託生を覗き込んだ。
「ごめんな。今日は早く帰るから」
 頬に軽くキスを送り、柔らかい髪を撫でる。
 スケジュール調整に悩む島岡には悪いが、託生の機嫌を直すのがオレにとって最重要事項なのだ。
「オレって健気だよなぁ」
 呟きつつ、どうやって島岡を言いくるめようか思案するのであった。
 
 
 
え〜「TIME OUT」の続編ということで。
ってか、これ埋もれてたんです;
PCを整理していたら出てきた;
忘れ去ってた代物で、書き直すのも修正するのも面倒なんで、このままupします。
ので、お見苦しい点があると思いますがご容赦を。
しかし、ギイ、キャラが違う・・・・・・・・。
(2004.12.24)
 
PAGE TOP ▲