Go for it!ボツ
2013年05年11日 Blogから転載
「あー、でも、自分が働いたお金が入ってたんなら、みんなに何かを買ったのに」 「は?」 急に突拍子もないことを言い出して、託生をポカンと見返した。 「ほら、初任給で親や家族にプレゼントするのがあるじゃないか。だから、お義父さんとお義母さんにも渡したかったし、絵利子ちゃんにも子供達にも買いたかったよ」 あぁ、そういう意味か。今までの感謝を込めて、初めて貰った給料でプレゼントしたかったってことだよな。 しかし………。 「託生、オレは?」 「ギイ?」 「オレには、初任給でプレゼントはないのか?!」 今、わざとオレの名前言わなかったろ!オレだって、託生からのプレゼントが欲しいぞ! 「だって、ギイ、ぼく騙してたし」 「だから、悪かったって!謝るから、この通り!」 両手をパンと合わせて頭を下げると、 「………欲しい?」 可愛らしく小首を傾げつつ、託生がオレを覗き込んだ。 ブンブン首を振るオレに吹き出し、宙を見つめて考え、なにかを思いついたように、にっこり笑った。 「ギイには、エプロンでもプレゼントしようか?」 託生の言葉に、オレの思考がストップした。 ………エプロン? エプロンをプレゼントされて、オレにどうしろと?料理でもしろってか? いやいやいや、そんな使い道は邪道だ! 白いふりふりエプロンが似合うのは、託生だけ! 「ギイ?」 「エプロン………白いふりふりエプロン………」 「ぼく、白いふりふりエプロンなんて言ってないけど。って、聞いてる、ギイ?もしもーし!わわっ!」 託生の肩をガシッと掴み、 「託生。オレ、エプロンが欲しい」 仕事でも、ここまで真剣になったことは今までなかったかもしれない。 しかし、これはなにがなんでも、エプロンを手に入れなければ! オレの気迫に息を飲んだ託生の口元が、楽しそうに変化した。 「でも、ぼくの初任給って、三年も前に入ってたんだよね?今更だよね?」 「へ?」 「残念だね、ギイ」 「いや、ちょっと、待て!今でも、いいじゃん!」 白いふりふりエプロン! 「でも、初任給じゃないし」 「じゃあ、オレが買ってくる!」 「いや、それプレゼントじゃないし」 プレゼントであってもなくても、この際どうでもいい! 「託生の裸エプ………っ!ぐっ」 「………ギイは、なにを想像したのかな?」 「なにって、もちろんナニ」 だから、グーで殴るなって! |