I'm Getting Sentimental Over You(2007.7)

 ベッドのスプリングが跳ねたような感覚と、肩に掛かったシーツが引っ張られたような気がして、目が覚めた。
 真夜中の3時過ぎ。
 隣に眠っているはずの託生を見ると、暑かったのかシーツを蹴飛ばし、事が終わったあと寒いだろうと着せ掛けたオレの上着を、胸の辺りまで捲し上げていた。
「おい、こら、風邪引くだろう」
 苦笑をもらしつつ、上着を整え、シーツをふわりと掛けると、
「うーん」
 眉間に皺を寄せ、せっかく被せたシーツをまた蹴り飛ばしてしまう。
「おまえは、子供か………」
 半ば呆れながら、もう一度シーツに手を伸ばすオレの方に、コロリと寝返りを打ち、ふいに素足をオレの足に絡ませた。
 しっとりと濡れたような感触に、オレの体が目覚めていく。子供のような邪気のない寝顔が、たまらなく色っぽく変化していく。
「託生、これはオレのせいじゃないからな」
 呟いて、背中に廻した手に力を込めると、託生が少しばかり抵抗した。
 軽く開いた唇に触れるだけのキス。
 輪郭をなぞるように舌先で遊んでやると、託生の唇がオレを誘うようにかすかに動き、絡んだ足が強請るように膝の裏を引っかいた。
「誘われたら断るのは悪いよな」
 一気に熱くなった体に言い訳をし、パジャマのボタンを一つ一つ外していく。
 数時間前につけた赤い印が、鮮やかに浮かび上がり、うっとりと目を細めた。
「託生………」
 吸い寄せられるように首筋に唇を落とし、晒された胸の飾りを指で挟んだ。
「ん………あ…………」
 徐々に高くなる体温と桜色に変化する肌を楽しみながら、反対の赤い実に唇を寄せる。
「な………に………?」
 自分の身に起こっている違和感に気付いたのか、託生がうっすらと覚醒した。
「おはよう、託生」
「ギイ………って、何してるんだよ?!」
「ん〜、おしおき」
「は?!」
「せっかく風邪を引かないように、オレがシーツをかけてやったのに、託生蹴り落とすんだからなぁ。だから、おしおき」
 言いながら、胸にあった手を託生の下半身に這わす。
「んんっ!もう、ギイ、意味わかんないよ」
「わかんなくても。第一誘ったのは託生だし」
「誘ってない!」
「もう、黙れよ」
 唇を合わせ舌を絡めながら、右手の動きに勢いをつけると、託生の抵抗が薄れ腰が怪しく揺らめいた。
「愛しているよ、託生」
 柔らかく濡れたままの蕾にそっと指を這わして、託生の足を腰に絡ませる。
 託生は諦めたように「もう」と小さく睨んで、
「スケベ、我侭御曹司!」
 最後の抵抗を試みる。
 そんな潤んだ目をして文句を言っても、可愛いだけだぞ?
「はいはいはい。そのとおり」
 プイッと視線を外した託生の頬に口付けながら、愛しい体を貫いた。

 
「寝ている所を襲うなんて、信じられない!」
 呼吸が落ち着いて発した第一声に、思わず苦笑い。
「悪かった」
「どうして、そんなに自分勝手なのさ!」
「だって、託生の体が『美味しいよ〜』って誘ってくるんだよな」
「な………な………」
 金魚のように口を開けたり閉じたりしている託生を胸に抱きこみ、
「スケベな我侭御曹司でも、好きだろ?」
 好きだと言ってくれ。
「…………朝きちんと起こしてくれるなら、もっと好き」
 ボソッと呟いて、真っ赤になった顔を隠すように、胸に押し付ける。
 その可愛らしい仕草と欲しい台詞をくれた託生に破顔し、
「任せろ。責任持って起こす」
 さらさらの髪にキスを送った。
「もう、シーツ蹴飛ばすなよ」
「………うん」
「蹴飛ばしたら、もう一回襲うからな」
「…………うん」
「愛しているよ」
「……………」
 寝息を立て始めた託生におやすみのキスを落とし、わずかな睡眠時間を取るべくオレも目を閉じた。
 
 
なんとなく書きたくなって、たまたまギイくんの誕生日だったもんで、書いてしまいました(意味不明)
「I'm Getting Sentimental Over You(センチになって)」は トミー・ドーシー楽団のテーマミュージックから。
ほぼ毎日BGMでJAZZをかけてるので、こちらもなんとなく。
あぁ、ギイタク読みたいな………。
(2007.7.29)
【妄想BGM】
⇒I'm Getting Sentimental Over You(動画サイト)
 
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