ゴールデンウィーク最終日(2010.10)

 GW最終日。時間を合わせたわけでもないのに、早い時間に戻ったギイと託生。
「3日も離れていて、寂しかったよ、託生」
「………ぼくは、寂しくなかったよ」
「託生くんの、NOはYESだからな」
 嬉しそうに、うんうんと一人納得するギイ。
「だから、違うってば!」
 むきになって言い返す託生の声も、いまいち説得力がない。
「体調壊してなかったか?電話の声が少し元気がないように聞こえたんだが」
「………大丈夫だよ」
 心配げに尋ねるギイの整った顔に、託生は頬を赤く染め俯き加減に応えた。
 そんな可愛らしい託生の仕草に、ギイが反応しないわけがない。
「託生、愛してる………」
「ギイ………」
 甘い甘い甘ったるすぎる空気に満たされた305号室に………。
「ギイーーーーーーーーー!!!!!」
「「うわっ!!」」
 唐突にドアが開き、黒い影がギイに飛び掛る。
 勢いのままウエスタンラリアートを掛けた闖入者に、
「何しやがる、章三!!」
 右ストレートをぶっ放すギイ。
 いきなり始まってしまった乱闘に、託生はベッドに腰掛けたまま、唖然、呆然、彫刻のように固まってしまった。
「お前、奈美に何を言った?!」
「はぁ?!何も言ってないぞ!!」
「んなわけあるか!絶対、何か言っただろう!!」
「言ってない!!」
 家具が壊れそうな勢いの乱闘騒ぎを見ているうちに、徐々に冷静さを取り戻した託生。
 二人の怒鳴りあいから、ギイが章三の恋人(?)の奈美子に何かを言ったらしいと察した託生の機嫌はみるみる下降線をたどり、そして、取っ組み合いを続ける二人を置いて、静かに305号室を後にした。
 数分後、章三の首を右腕で締め上げたギイの目に、誰も座っていないベッドが写る。
「託生は?!」
「葉山ぁ?」
「託生がいない!せっかく、いい雰囲気だったのに、章三のせいだぞ!」
「なにが、いい雰囲気だ?!僕の前で、恥を知れ!」
「託生ーーーーーー!!」
 慌てふためいて飛び出していったギイに呆れながらも、多少の責任を感じた章三はギイの後を追う。
 入寮日よろしく、相変わらず祠堂を走り回る二人であった。




補完話ついでに、短いですけど上げちゃいます。
「それらすべて愛しき日々」のその後ですね。
こういうのが、フォルダ内にパラパラあるんですけどorz
アップする気がなかったから、はちゃめちゃな作りですね。
タイトル思いつかないんで、まんまで。
(2010.10.4)
 
PAGE TOP ▲