日常会話(2004.1)

 ギイと交代でシャワーを浴びバスルームを出ると、部屋の電気は消え、月明かりがカーテンの隙間から、ほんのりと差し込んでいた。
 暗闇に慣れない目には、ギイの姿が映らない。 
「ギイ………?」
 もう、眠ってしまっているかもしれないので、小さく呼びかけてみる。
「ここだよ、託生」 
「どうしたの?スタンドくらいつけたら?」
 ギイのベッドに近寄ったぼくの腕を掴み、ぐっと引っ張ると、ぼくを押し倒し自分の下に組み引いた。 
「うわっ」 
「つけていいのか?」 
 笑いを含み、耳元で囁く声に、ズンと背筋に覚えのある感覚が走る。
 が、このまま流されてしまうのも癪に触るので、ギイから逃れるように身じろぎをし、
「今日は、ダメだよ」
 ギイの肩を、押し返した。
「どうして?」
「だって………昨日もしたじゃないか」
「昨日は昨日。今日は今日。明日は土曜で半ドンなんだから、いいだろ?」
「でも………ん…………」
 ぼくの抗議を聞く事なんて、最初っから考えもしないように、ギイの細長い指がパジャマのボタンにかかった。
 
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