ストレス解消(2004.3)

 第一校舎と第二校舎を繋ぐ渡り廊下。
 スキップをしそうなくらい上機嫌で歩くギイと、泣き出しそうなくらい顔を赤くしてその後ろを歩く託生。 
「ね………ねぇ。もう、離してよ」
「や〜だね。約束だろ、託生?」
「あんな、一方的な約束!」
 二人の間には、しっかりと恋人繋ぎをした手が存在していた。
「………お前ら、何やってるんだ?」
 世間の迷惑を考えろ!と言外に含ませ、反対側から歩いてきた章三が目を細め睨む。
「ほ………ほら、赤池君も怒ってるじゃないか」
 あからさまにホッとした顔をして、託生は繋がれた自分の手を取り返すがごとく引っ張った。
「大胆だなぁ、託生。なに?そんなにオレとくっ付きたかった?」
「ちがっ………違う!!」
 繋いだ手を外すこともなく、べったりと託生に擦り寄るギイに、章三のこめかみに青筋が浮かぶ。
「ギイ………」
「なんだよ。別にいいじゃん」
「じゃなくって、そんなにベタベタしたいのなら、僕の目の届かない所でしてくれ!葉山も!嫌なら嫌で、はっきりギイに抵抗しろ!」
びしっと人差し指を立て指摘する章三に、ぶんぶんと手を振りほどこうとする託生と、めげずにぎゅっと力を入れるギイ。
「違うぞ、章三。託生は了承してくれたんだぞ。な、託生?」
「でもでも、もう充分だろ?」
 ちらちらと章三の顔色を見ながら、泣きそうな顔をする託生にギイはひょいと眉を上げ、仕方がないなとすんなり手を外した。
「お前ら、時と場所を考えて行動しろ」
「って言ってもなぁ。約束だし?」
「っ!」
「葉山………お前なんの弱み握られたんだ?」
「な………なんでもないよ」
 言える訳がない。
 章三の目を盗んで、ピーマンとニンジンをギイに食べてもらったことなんて。
「ふ〜ん?」
「そ………それより、5時間目始まっちゃうよ。次、移動だろ?」
「だな。オレたち、先に教室戻ってるからな」
 と、歩き出した二人を、章三が呼び止めた。
「あ、葉山」
「なに?」
 振り返った託生に、にっこりと微笑み、
「今日の夕食、青椒牛肉だそうだ。6時半に305号室に行くから、3人で食おう」
 ざーーーっと青ざめた託生を尻目に、章三は颯爽とブレザーを翻し第一校舎に向かった。
「これ以上、楽しいおもちゃはないよな」
 バカップルのフォローをするのだから、これくらい遊ばせてもらわないと。
 いい根性をした章三であった。
 
 
 
意味わからん………;
 
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