flowerのおまけのおまけ(2011.2)

 おかしい。なにかが、おかしい。
 普段のギイなら、深い意味はないかもしれないけれど、意味深な花言葉を持つ花を貰ったりしたら、機嫌が悪くなるだろうに。それが数年前であっても。
 文句一つも言わずにスルーするなんて、ギイらしくない。
 古城にいた頃は親しい友人に接するような振る舞いを見せてはいたけれど、二人の仲が戻ったと同時にギイの態度はあっという間に元通り。
 傍若無人で我侭でヤキモチ焼きで。そして宝物みたいに大切にぼくを愛してくれている。
 だからこその違和感。
 こういう所は今でも変わっていないのに……。
 ぼくの荷物を手際よく片付けているギイを横目に、もう一度紫チューリップを見た。
 あの時と同じチューリップ。あの時と同じピンクのリボン。
 花言葉『永遠の愛』
 あ………!
「もしかして、ギイ?」
「なにが?」
「以前貰ったチューリップ」
 あ、一瞬目が泳いだ。
 ギイ、来てくれていたんだ。
 紫のチューリップを貰ったのは一度きりの事だから、たぶんギイが来てくれたのも一度なのだろうけど、嬉しくて顔がゆるんでくる。
「ギイだよね?」
 すました顔でオレは知らないとでも言いたげに、
「さあ?」
 首を傾げている。
 でもね、耳が赤くなってるよ。ポーカーフェイスを被り損ねたみたい。ギイ、照れてる。
「ギイだよ」
 過去も現在も未来も、『永遠の愛』をぼくにくれるのはギイだけ。
 それなのに、知らんぷり。
「だって、ギイしかいない……んん」
 黙れと言わんばかりに降ってきたキス。
 少し乱暴に揺さぶって、吐息まで貪って、ぼくの思考をかき乱すように甘くねじ伏せる。
 こうなると喋れなくなるのがわかってるのに、ずるい。
 余裕で笑うギイを睨みながら、いつか仕返ししてやると心密かに決めた。


おまけのおまけ(笑)
(2011.2.6)
 
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