ギイくんの悩み事 (2002.2)

 心も体も、一つになって早一ヶ月。
 夏の日差しがキラキラと輝き、木々の間から光の柱が幾重にも折り重なっている。
 その光とは裏腹に、ギイの横顔には何故か愁いの色が見える。ぼんやりと託生の机を見詰めては深い溜息を吐く姿は、相愛の相手と幸せな日を過ごしているにしては、少しおかしい。
 何をそんなに悩んでいるのかというと………。
 幼い頃から託生一筋で、この顔に似合わず実は誰とも付き合ったことがなかったのだ。
 ようするに、託生が初めてのお相手というわけで。
 それに引き換え、本人の意思ではないにしろ、託生にとっては、ギイは二人目の相手である。
『感じればそれなりに反応する』
 託生の告白で訊いた言葉。
 託生はされて「感じる」ということを、知っているのだ。
「託生が感じているのはわかるが、もしかしたら兄貴より下手なのでは………」
 麗しい顔を曇らせて悩んでいるのは、そう自分のテクニックがいかほどの物かということである。
 もっともっと託生を感じさせて、ぜひとも「欲しい」と言ってもらいたい。
 そう思いながら、事になると夢中になってしまって、早急に求めてしまう。
「オレがイク前に、託生を何回かイカせられるくらいのテクニックを身に付けなければ………」
 眉間に皺を寄せて考える内容ではないのだが、他の人間で試すわけにはいかず、本人は到って真剣である。
「これは、ちょっと勉強した方がいいよな」
 そしておもむろに机から取り出したのは、「愛の四十八手」。
「う〜ん、これは昨日したよな。こっちは体の堅い託生には無理そうだから、そうだな………」
 ハタから見れば、難しい文学書を読んでいるように見えるであろう。
「お、この松葉崩しあたり、良さそうだな。両手も開くし託生の顔も見られるし」
 目当ての体位をみつけて、ギイの顔がほころぶ。
「よし!今日はこれで行こう」
 鼻歌を歌うように、引き出しの奥深くに本を仕舞いこみ、愛する託生の赤く染まった肌を思い浮かべる。
 恥かしげに目を伏せ、濡れた吐息でオレを煽っていく。その煽りでノックアウトを食らうのだが………。
「今日こそは託生が気を失うくらい、激しいのをやってやる!」
 胸に拳をあてて、心に誓う。
 今夜の託生の運命はいかに。それは全てギイの手にかかっている。
 
 
すみません。先に謝っておきます。
ギイのイメージぶち壊し!もう、それはそれは楽しんで書いてますよ(笑)
某サイトの話題に触発されて浮かんだものですが、私の書くギイって、やっぱりスケベ(爆)
って、私がスケベだからか?!
(2002.9.4)
 
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