その他

2017年05月26日(金)
ギイ 戦士 勇者
ショーゾー 魔法使い 魔法戦士
ミス 僧侶 賢者
ハヤマ 吟遊詩人 天地雷鳴士
シンギョージ 武闘家 バトルマスター
ヤグーラー 笑わせし  ゴッドハンド
ヤツ 盗賊 パラディン
カタクーラ 羊飼い 魔物ハンター
ヨシ=ザワ 船乗り 海賊
タカバヤシ 踊り子 スーパースター


「くそっ」
 オレ達の力ではナ=オトに勝てないのか?
 馬車に残っているのはハヤマ一人。あいつに戦わせるわけにはいかない!
「ギイ……!」
「その体で僕に勝とうなんて、無理だよ」
「ぐっ………!」
 さっと上げられた右手で、軽くオレを弾き返す。そのとき、馬車から人影が飛び出し、横たわったオレ達の前に歩み出て、ハヤマはナ=オトを睨みつけた。
「やっと出てきたね、タクミ………僕の弟」
「タクミ……?」
「弟………?」
 うっとりと夢見るように呟いたナ=オトの言葉に、呆然とハヤマに目をやる。
 ハヤマがナ=オトの弟?
「………兄さん」
「タクミ、どうしてそこにいるんだい?お前のいる場所はこちらだろう」
「ぼくは、そちらには戻りません」
「人間と魔族が相容れるわけないだろう?馬鹿な事を言ってないで戻ってきなさい」
「いやです!相容れないからと言って、どうして人間を傷つける事ができるのですか?!」
「そんなちっぽけな生き物、この世に必要はないんだ。僕とお前さえいれば、それでいい」
 そんなナ=オトの言葉にハヤマの顔が嫌悪感で歪み、そして何かを決意したように口唇を噛み締めた。
「ぼくは、皆の笑顔を守りたい」
 ハヤマは額を覆っている飾りの金具を外した。そこに浮き出たのは魔族を表す金色の印。
 その印を見たとたん、遠い遠い子供の頃の暖かな記憶が蘇った。城を抜け出して行った湖の畔で、オレはハヤマに…いや、タクミに会っている。
「こんなぼくでも、仲間だと言ってくれたんだ」
 ハヤマはリュートを床に置き、両手を高くあげて呪文を唱えだした。
「あの呪文は………」
「ハヤマ、止めろ!」
「命を引き換えになんてするな!」
「馬鹿な事は止めるんだ!」
 口々に止める仲間達にハヤマは儚い笑顔を見せ、
「今までありがとう」
 そう呟くと、手の中で光る球体を一気に膨らませ、
「メガンテ!」
 一直線にナ=オトに向かって走り出した。
「タクミ、どうして………」
「ごめん、兄さん………ぼくも一緒に行くから」
「ダメだ、止めろ!タクミーーーーッ!!」
 ナ=オトとタクミを包み込んだ目もくらむような光に一瞬目を閉じた直後大きな爆発音が響き、そして目を開けたときには全てが終わっていた。タクミが立っていた場所には、いつも大切そうに抱えていたリュートがぽつんと取り残されている。
 ヨロヨロと馬車の中から魔法の聖水を取り出したシンギョージが、はいずって瓶をミスに手渡した。
「ベホマラー!」
 一気に飲み干したミスの呪文に全員のHPが回復したが、心に苦い物を走る。目の前で、タクミが消えてしまったのだ。
「タクミ………」
 なにもできなかった。オレが守ると決めたのに………!
「ハヤマは消えてないよ」
「えっ?!」
 ヤツの言葉に、全員が驚きに目を見張る。
「ナ=オトが、反射光に巻き込まれる前に、どこかに飛ばしたみたいだ」
「本当か?!」
「盗賊の動体視力を甘く見ないで欲しいな」
「それでも、あの呪文は自分の命と引き換えに敵を滅ぼす究極魔法だ。飛ばされたとしてもハヤマが危ない」
「なぁ、ハヤマはどこに飛ばされたんだ?!」
 オレの言葉に反応したように、月のリュートがふわりと浮き上がり一筋の光を指し示した。


2015年03月18日(水)
「………これ、なに?」
「なにって、託生の脳の画像」
「は?」
「定期健診行ってきたろ?」
「そうだけど……」
「CD−ROM貰って来たじゃないか」
「……そうだけど」
「だから、その画像を入れてるんだ」
「なにが『だから』かわからないよ!」
「これも託生なんだ。託生の写真なんだ。それを入れて、どこが悪い?」
「悪くはないけど………気持ち悪くない?」
「気持ち悪い?どこが?託生の全てを愛しているオレが、託生の写真を見て興奮しないわけ……ぐぇ」
「こんな脳の写真で興奮するな」


2014年12月15日(月)
「崎義一、29歳。明日、世界が滅びるとしたら、今日、何をやるだろう。その答えと、オレが今やってることが同じでありたい」
「むりむりむりむりーっ!連日は、むりーっ!」

「崎義一、29歳。もう一度、妻を口説こう 」
「もう、いいよギイ……」
「いや、まだまだ」
「充分気持ちは伝わってるから、寝かせて………o( _ _ )o…zzzzzZZ」

「崎義一、29歳。わんぱくでもいい。逞しく育ってほしい」
「聞いてるの、ギイ?!」
「はいっ」
「子供達を止めるのならまだしも、率先して走らない!」


2014年12月11日(木) Blogより転載
(2010年10月6日分 困ったおもちゃ箱内「もしもあの子が先生だったらPert2」関連)
ぼくのこめかみから肩口まで、崎先生の熱い口唇が移動する。ピリッと痛みを感じた箇所は、赤い印が残っているのだろう。
膝の上にぼくを乗せ、体を優しく撫でる大きな手が時折乳首をかすめ、そのたびにぼくの体が仰け反った。
「あ・・・・ぁ・・・・・・・」
「託生・・・・・・・」
汗で滑る崎先生の肩を必死で掴み、甘い責め苦に耐える。
「託生・・・・・・好きだと言ってくれ」
「え・・・・・・・・んん・・・・・・!」
ぼくの耳に口唇を寄せ、崎先生が強請る。
「託生・・・・・・?」
「ん・・・・・好き・・・・・・せんせ・・・いが・・・・好き・・・・・・・あぁ!」
ぼくの言葉に、体を突き刺す腰の動きが激しくなった。


2014年12月11日(木) Blogより転載
(2007年8月17日分)

四月、快晴、日曜日。
ぼくは半分、気分が重かった。
 
「葉山先生、おはようございます」
「おはようございます。利久君、おはよう」
笹かまぼこの老舗の息子、片倉利久がお母さんの手にひかれてやってきた。
「じゃあ、利久、先生の言うこと聞いて、いい子にするのよ」
「わかってるよぉ」
「先生、お願いします」
「はい。お預かりします」
バイバイと手を振って見送っていた利久は、車が見えなくなると途端不服そうな顔をした。
「日曜に、お泊りなんてサギだよなあ」
「そうかな?」
「だって、休みが1日なくなるだぜぇ。損した気分・・・」
子供らしい拗ねた顔に、
「可哀想だね利久君、よしよし」
まあるい頭を撫でると、にまーと笑って、
「お部屋に行ってくる」
と駆け出していった。
 
ここ、祠堂学院幼稚園では、今日から年中さんが1泊2日のお泊り保育である。
昭和ひとケタに創立された歴史あるこの幼稚園は、良家の令息が多数通うことで有名なのだが、たまたま中山先生に声をかけられ先生になってしまったぼくは、あとになって知ったのだ。
個性豊かな(ある意味、幼稚園児はこういうものなのかもしれないが)傍若無人なわがままっぷりを発揮する園児達に振り回される毎日なのだが、今日はしかもお泊り。
「何事もなく終わってくれたらいいんだけど・・・」
園児たちが待っている教室に足を向けた時、突然、足に何かがあたり、小さいものが転がった。
「な・何するんだよ!」
「大丈夫か高林、どうしたんだ?!」
え・・・・・?
女の子に間違われるくらいの可愛い顔をしながら、癇癪玉のようなわがままで、先生方がほとほと手を焼いている高林泉。
しかしながら、その可愛さにクラクラした(幼稚園児がクラクラするのか?)数人が親衛隊を作り、金魚の糞のようにくっついている。
「そいつ、わざと僕にぶつかってきて謝りもしないんだ!」
とたん、親衛隊4人がぼくを取り囲み、きつく睨みつけてきた。
相手が幼稚園児とはいえ、取り囲まれれば行き場はない。
「謝れってんのが聞こえねえのかよ、このヤロー!」
はぁ、どこぞのヤクザじゃないんだから。第一に、これが良家の令息というのなら、跡取りの育て方間違ってる。
後から親に告げ口されて乗り込んでくるかもしれないけど、ここは先生らしく注意をするのが筋だな。
そう決めて口を開こうとすると、
「随分と威勢がいいじゃないか、山下清彦くん」
高い、冷静な声が辺りに響いた。
「赤池章三」
「僕が見ていた限りでは、葉山先生が高林君にぶつかったとは到底見えなかっただがね」
大学教授の父を持っているせいか、歳を10歳ほど誤魔化しているんじゃないかと思うほど、冷静沈着という言葉が似合う赤池章三。
今年ぼくのクラスになる、あのギイの親友だ。
「畜生、覚えてろよ!」
捨て台詞までヤクザ調に、5人が逃げていった。
「おい、先生は先生らしく対応をしろよ。親の顔色見ていたら舐められるだけだぜ。世間知らずだな」
ぐっ。
あのね。君の歳×4倍は世間を見ているはずなんだけど。
でも、言い返せない自分がいる。
赤池章三は言い残し、園庭に走っていった。
「もしかして、幼稚園の先生なんて向いてないんじゃないのかな」
落ち込んでいる暇はないのだけれど、こうまで言われると落ち込んでしまう。
「葉山せんせーーーい!」
「あ、はい!今行きます!」
そうだ。今日はものすごく忙しい日だったんだ。
ぼくは気持ちを切り替え、教室に向かった。

ここまでっす。


2014年12月07日(日)

精一杯、あのイラストで考えてみた。
「なに、やさぐれてるんですか?託生さんと南国に避寒すると、先日言われてませんでしたか?」
「………仕事だってよ」
「まぁ、普通の方はそうでしょうね」
「なんだよ。その含みのある台詞は」
「貴方のように暇を持て余している人間は、この世に少ないと言ってるんです」
「……別にいいじゃん。充分働いたんだから。一生分の食い扶持だけじゃなく、世界中遊びまわっても、まだまだ余るぞ」
「今から隠居老人やって、どうするんですか」
「島岡、うるさいぞ」
「デートに振られるだけじゃなく、いつか託生さんに愛想をつかされるかもしれませんね」
「うっ………」
って、感じかなぁ……。


2014年11月29日(土)
モーレツ困っていたんです関連

矢「甘いっ!」
ギ「………そうか?」
矢「甘い、甘すぎるぞ、ギイ」
ギ「じゃあ、矢倉はそういう場面に遭遇したらどうするんだ」
矢「広げて堪能、匂いを堪能!」
ギ「おまっ…!」
矢「そして頭にかぶって気が済むまで裸踊りをだな」
ギ「やるか?やるのか、矢倉?」
矢「やるしかないだろうが。そこを突きぬけてこそ漢(オトコ)だ!」
ギ「いや、やりたかったんだが、一応イメージってものがだな………」
矢「いいかげん壊れてると思うぞ、俺もギイも」
ギ「………矢倉、漢だな」
矢「おぉ!」
章「お前ら。それが階段長会議でする話題か?」


………そーゆーシーンを入れようかと何度も書いて消していた私が、一番ぶっ壊れていると思います;


2014年11月20日(木)
世界に名をとどろかせる財閥崎家と貧乏な旧華族葉山家

「いつまでもフラフラしないで、身を固めなさい」
「なにがなんでも逆玉に乗って、葉山家を守るのです」

「「………男?!」」

「どこで行き違いが」
「妹君だと聞いていたのに」

「真面目なご子息に倣って、長男の自覚を持ってくれれば」
「友人になって妹君との橋渡しを」

「うわぁ、すっげぇ可愛い。このチャンスを逃してなるものか!」
「うわぁ、外人………」

「友達からよろしく」
「はぁ………」


………続かないので、ボツ。


2014年11月05日(水)
「崎義一、29歳。私、脱いでもすごいんです」
「………あの脱ぎたがる癖、どうにかならんのか、葉山?」
「言い疲れて諦めたよ………」

「崎義一、29歳。うまいんだなぁ、これが!」
「ぎゃーーーっ!おろせ!おろして、ギイっ!」

「崎義一、29歳、イインダヨ!グリーンダヨ!」
「……誰だ、あのお祭り男にバカ殿メイクを教えたのは?」
「あそこにいるよ。同じメイクをして」
「………矢倉ぁぁぁぁぁ」


2014年11月04日(火)
「崎義一、29歳。どうしてもあなたに会いたい夜があります。きっときみは こな〜い ひとりきりのクリスマス・イブ(* ̄0 ̄)θ〜♪」
「………いつまで拗ねてるんだよ?仕事なんだから仕方ないだろう」


2014年11月03日(月)
「崎義一、29歳。ド●ホルン●ンクルを使ってます」
とかで、パックしてる顔があったら吹くな。

崎義一、29歳。カッコイイとは、こういうことさ。

崎義一、ピッカピッカの〜29歳。
………これは無理があるな;

崎義一、29歳、にじゅ〜よじか〜ん たったか〜えまっすっか り〜げい〜ん り〜げい〜ん(* ̄0 ̄)θ〜♪

崎義一、29歳。もっと あいして なが〜く あいして(づ ̄ ³ ̄)づ

「崎義一、29歳。100人乗っても大丈夫!」
「ギイって、頑丈なんだね〜」


2014年11月02日(日)
「崎義一、29歳。違いが分かる男 ダバダ〜 ダ〜ダ ダバダ〜 ダバダ〜(* ̄0 ̄)θ〜♪」
「………葉山、あれを止めろ。耳障りだ」
「無茶言わないでよ。ぼくがギイを止められるわけないだろ?」


2014年10月10日(金)
東京都・原宿に「壁ドンカフェ」が登場 -男性も体験できる! | マイナビニュース news.mynavi.jp/news/2014/10/0...

「壁ドンカフェだって」
「壁ドン?それならいつでもオレが…!(ドン!)」
「ギイ、好きだよね、壁ドン」
「はい?」
「最初から壁ドンだったよね?」
「……それは進歩がないって言いたいのか?」
「そうじゃないけどさ」
「なんなら、床ドンでも天井ドンでも!」
「………遠慮します」


2014年08月23日(土)
「お?」
「どうしたの、ギイ?」
「………肉」
「は?」
「託生。章三ん家に行くぞ!」
「はぁ?って、ちょっと、ここNY………ギーイーーーッ!」

「お前ら………」
「章三に頼みがあって来た」
「断る」
「聞く前に断るな」
「断りたくなるだろうが!なんだ、そのスーパーの袋は!しかも、五袋!いや、それよりも、その飛び出ている骨だ!どこから調達した?!」
「よくぞ、聞いてくれた、章三。なかなか苦労したんだ。これはな……」
「聞かん」
「まぁまぁ、章三君、これを見てくれたまえ」
「嫌だと言ってるだろうが!」

と言いつつ、無理矢理見せられた動画が、これ(PCのみかもしれません)



「ほー、燻製にするとは、なかなか考えているな。豚バラで包み込めば、香ばしさもアップするだろうし」
「だろ?しかも、残った場合の対処方法もある」
「ケバブもいいが、ベーコンクラブサンドならぬ、ビーフクラブサンドでもいいな。野菜もマスタードもたっぷりで」
「材料は全てここにあるぞ、章三」
「むむむ、これは作らなければ、男の沽券に係わる。よしっ、作ろうじゃないか」
「よっしゃー!」
「その代り、お前らも手伝えよ」



2014年07月29日(火)
「託生、来週の火曜日……」
「土用の丑の日だよね。うな重食べなきゃ」
「いや、そうじゃなくて」
「え、ギイ、うな重好きだろ?」
「好きだけどな。じゃなくて!」
「足りない?じゃ、鰻巻きと肝吸いも用意しようか?」
「美味そうだな。……違うぞ!もっと大切なものがあるだろうが!」
「大切なもの………デザート?仕方ないなぁ。差入れに貰ったうなぎパイもつけるよ」
「お前、一人でうなぎパイを食べるつもりだったのか?」
「そうじゃないけどさ。晩ご飯は、うな重と鰻巻きと肝吸いとうなぎパイでいいよね?」
「あぁ……そうじゃない!託生、お前、ほんとに忘れてるのか?大切な大切な、この日を!」
「知ってるよ。29日は」
「29日は?」
「毎月、肉の日」
「………託生、鰻、山盛り用意しておいてくれよな」
「はい?」
「ベッドの中で、思い出させてやる」


2014年07月16日(水)
「ぎっくり腰ですね」
「そんな簡潔に……てーっ!」
「情けないですね。毎日、蝶のように色々な花に飛び回っている貴方が」
「ここぞとばかりに、嫌味かよ」
「そのように取られるとは心外ですね」
「………お前、ストレス溜まってるだろ?」
「とりあえず医者を呼びましたから、診察を受けてくださいね」
「はいはい。どっちにしろ、ここから動けないんだからな。大人しくしてるさ」

「では、看護士を置いていきますので、なにかありましたら言ってくださいね」
「………で、この痛みは我慢しろって?」
「いえ、ぼくがブロック注射打つんで、すぐに楽になりますよ」
「………は?」
「じゃあ、下着下ろしますね」
「ちょ………ちょっと、待て!いてぇ!」
「ほら、無理に動くと痛いでしょ?注射一本で楽になりますから、ほらほら」
「ほらほらじゃない!勝手に下ろすな!待て!待て待て!」
「なに、恥ずかしがってんですか?」
「………名前は?」
「はい?」
「お前の名前」
「………注射打つのに、名前が必要なのでしょうか?」
「オレには必要」
「わかんない……っと」
「げっ」
「力、入れないでくださいね」
「患者の同意なしで………」
「痛いんでしょ。すぐに楽になりますから」
「いや、楽にならない。たぶん、ずっと痛いまま」
「はぁ?」
「この胸の痛みは、ずっと消えそうにないんだ」
「ぎっくり胸?」
「なわけあるか?!」
「…………変な患者さんに、当たっちゃったなぁ」


2014年04月30日(水)
「この浮気者っ!」
「どこが浮気なんだよ?!」
「オレ以外の男を誉めること自体浮気だろうが!」
「ギイが、言ったんだろ!イチローはすごいって!」
「……オレが?」
「そう、ギイが」
「そうか」
「そうだよ」
こういうことでしょうな。たぶん。


2014年4月18日(金)ブログより転載
「逃げるか?」
 ポツリとギイが言った。
「……どこに?」
 おもちゃ箱をひっくり返したような雑然とした景色から目を離さず、ポツリと答える。
「月の果てにでも」
 できるわけがないのを承知で、ギイがジョークに本心を紛れ込ませた。
 日本とアメリカ。二人の気持ちは変わらないのに…いや、日々募る想いがこれまで以上に膨れ上がり、離れている方が不自然に思えてくる。
 でも、状況がそれを許してくれない。ぼくにはぼくの。ギイにはギイの。それぞれいるべき場所がある。
 まだ未成年のぼく達が勝手できるほど、世の中は甘くない。


「逃げるか?」
 ポツリとギイが言った。
「……どこに?」
 おもちゃ箱をひっくり返したような雑然とした景色から目を離さず、ポツリと答える。
「とりあえず、二人きりになれる場所」
 横目でチラリとうかがうと、いたずらっぽくギイが笑った。
 振り返らずとも背後に数人のSPがついているのはわかる。ギイとぼく、それぞれのSPが集まっているから5人ほどか。
「逃げられると思う?」
 ギイはいいけれど、ぼくは特別足が速いわけじゃない。
「んー、展望台のエレベーターに飛び乗るタイミングが味噌だよな……久しぶりのデートなんだ。SPなんて、糞食らえ?」
「……お説教は逃げないでよ」
「はいはい。そのときは二人で怒られような」
 言うなり繋いだ手に力を込め、閉まりかけたエレベーターに向かって走り出した。


2014年2月9日(日)チャットルームより転載
「ギイ………?」
「何も言わずに消えて、すまない」
やっとオレ達を取り巻く障害物を取り除き、その足で託生の下に来ることができたオレに目を見開き………ん?
なんだか、託生の様子が変だぞ。
「まただ?」
「はい?」
「ぼく、夜に夢を見るだけじゃなくて、白昼夢まで見るようになっちゃったんだ」
一人納得したようにブツブツと呟く託生を見て、
「白昼夢じゃないって、オレだって。ギイだ!」
と叫ぶものの、
「あー。幻覚だけじゃなくって幻聴まで聞こえるなんて……。しっかりしなくちゃ、ギイに怒られちゃう」
頭をふるふると振って、泣きそうな笑顔を作った。
「オレは、ここにいるだろうが!」
「よく、そうやって怒鳴られたよね。懐かしいなぁ」
「おい」
実体と見てもらえず、がっくりと肩を落としながら、おもむろに託生の腕を掴んだ。
その感触に、ハッと託生が息を飲む。
「ギイ?」
「だから、オレだって言ってるじゃないか」
「いや、そんなはずないよ。ギイがここにいるはずない」
「いるの!じゃ、オレは誰だって言うんだよ?!」
「………変装が得意な誰か?」
オレは、ルパン三世かっつーの!
「あー、じゃあ、質問してみろよ。なんでも答えるから」
「ぼくの誕生日は?」
「2月18日」
「2年生のときの寮の部屋番は?」
「305号室」
「3年生のときは?」
「270号室」
「……でも、知ってる人は知ってるよね」
確認するように首を傾げ、うーんと悩む託生の姿に凹む。
なにが、なんでも他人にしたいか?!
「そんな質問より、二人しか知らない記念日を尋ねたらいいだろう?」
「記念日?」
「あぁ、6月7日。二人の記念すべき初エッ………いってーーーっ!」
「ギイのスケベ!」
「………お前、わかってんじゃん!」

【再会で遊ぼう第四弾、信じてもらえない?編】



2014年2月8日(土)チャットルームより転載
「ギイ………?」
「何も言わずに消えて、すまない」
やっとオレ達を取り巻く障害物を取り除き、その足で託生の下に来ることができたオレに目を見開き、信じられないとでも言いたげに、涙をためて託生が首を振った。
「託生………」
「ギイ………」
託生を抱き寄せて、口づけを………。ぞくっ、殺気!
「はいはいはいはい、ストーップッ!」
「ぐえっ」
誰だ、首根っこ引っ張ってるのは?!
「葉山君は、こっちね」
「野沢君?吉沢君?」
「ギイは、こっちだ」
「〜〜〜〜〜(たーくーみーっ)」
「葉山がよくても」
「俺達は許さない」
「よくも勝手に消えてくれたもんだ」
「一言もないなんて、そんなに薄っぺらい友情だったってわけか」
(章三!矢倉!)
「覚悟は決まってるんだろうな」
ボキボキッ!

「気がすんだか………?」
「一応な」
「僕達に無体を働いたことは忘れてやるよ」
「そうか、サンキュ………」
バタッ!
「わーーーっ、ギイ!」

【再会で遊ぼう第三弾、友情編】


2014年2月7日(金)チャットルームより転載
「ギイ……?」
「た……くみ………」
「なんで、こんなところにいるの?」
と言われても、どう答えればいいのやら。
いや、それよりも、そんなところに立たれると困るんだけど。
「あの…な。少しだけ離れてくれないか?」
「嫌だ!ギイ、またなにも言わずに行っちゃうかもしれないじゃないか」
ポロリと零れた涙を拭いてやりたいけれど、しかし………。
「えーと、託生くん。あとで、殴ってもいいし罵倒しても構わないから、2分だけあっち向いてもらえないか?」
「どうして?」
「………いいかげん漏れそうなんだ!」

【再会で遊ぼう、トイレ編】


「ギイ………?」
「何も言わずに消えて、すまない」
やっとオレ達を取り巻く障害物を取り除き、その足で託生の下に来ることができたオレに目を見開き、信じられないとでも言いたげに、涙をためて託生が首を振った。
「託生………」
呼んで抱き寄せようとした瞬間。
………ボスッ!
鈍く重い音とともに、鳩尾に入った渾身の一発。
「う………」
「ギイの………バカーーーーッ!」
ボスッボスッボスッ!!
「た………」
「どれだけ心配したと思ってるんだよ!」
「本当に、わるか………うっ」
ボスッボスッボスッボスッ!!
「なにかあったんだとは思うけど、あんまりじゃないか!」
ボスッボスッボスッボスッボスッ!!
「た…く………」
「ギイ?」
「………お前、以前よりパンチの威力が増してるんだけど」
さすがに、これ以上殴られたらヤバイかも。
「あ、ボクシングジムに通ってるんだ、赤池君に誘われて。体力つけるために」
「章三と………そうか」
二人がかりなのか………。
無事に生きて帰れる確率は、何パーセントなのだろうか………。

【再会で遊ぼう第二弾、ボクシング編】


2013年12月14日(土)
ベッドの上の影が丸い。
まるで卵のような可愛らしい寝姿に声を潜め笑ったものだが、託生の告白を聞き、それは胎内回帰の表れなのだと気付いて、己の楽観的主点に嫌悪した。
何者からも守られる胎内。
もう、戻ることは叶わない胎内。
それでも、自分を守るために丸く身を縮め、眠っている時間でさえ気を許すことはできないのか。
静かに託生の隣に身を滑らせ、囲い込むように託生を抱き締めた。
いつか、この手が、この足が、自由に伸ばせられるように。固く緊張した体から、力が抜けるように。
オレは、お前の盾になる。


2013年11月18日(月)
「来るもの拒まずの海千山千だったって言ってたよね(ぼそぼそ)」
「どうした、託生?」
「ギイってさ」
「うん?」
「バイだよね?」
と言われて、コーヒーを吹き出して焦っているギイが、ちらちら。


2013年11月07日(木)
「今日は立冬なんだって」
「そろそろ冬支度を始めましょうってことだな。託生にはあまり関係ないみたいだけど」
「なんだよ、それ」
「お前、オレがいない間、電気ストーブつけてるだろうが」
「え、知ってたの……」
「わからないはずないだろ?部屋に入ると、妙に暖かいんだから」
「で、でも、正式に冬なんだから、ストーブつけてもいいよね?」
「ふぅん、じゃ、立春になったら消すんだ?」
「………立春っていつ?」
「2月3日。へぇ、節分と重なるんだな」
「2月3日?!冬の真っ只中じゃないか!無理、絶対無理!」
「託生………ストーブに抱きつくのなら、オレに抱きついてくれないか?」
「ストーブはどっかに持って行かれるかもしれないけど、ギイはどこにも行かないだろ?」
「…………」
「ギイ?」
「お前、なにも考えずに言ってくれるんだもんなぁ」
「なにが?」
「こっちのこと。さて、冬になったんだから、ストーブつけて、ギイ君が暖めてあげよう」
「わわっ」
「どこにも行かない。ずっと側にいるからな」
「………うん」


2013年10月02日(水)
「あれ、赤池君?」
「葉山、洗濯か?」
「うん。今日はなにもないから、今の内にやっておこうと思って」
「やれるときにやらないと、すぐに溜まってしまうからな」
「でも、赤池君を、この時間にランドリールームで見るのって初めてのような気がする」
「基本、僕は朝に洗濯をするから」
「朝?!」
「起きてすぐに洗濯機を回して、朝食を取りに行く前に乾燥機に放り込むんだ。30分もすれば乾くから、朝食の帰りにここに寄って持って帰れば効率がいいだろ?」
「それで、赤池君って洗濯物が溜まらないんだね」
「そういうことだ。ところで、葉山」
「なに?」
「お前さん、いつまでここにいるつもりだ?」
「乾燥機が終わるまで」
「どうして?そんなに暇なのか?」
「うーん、じゃなくて、なんだか洗濯物が減っていくような気がするんだよ」
「………は?」
「ぼくの気のせいかもしれないんだけどね」
「服か?」
「ううん、下着」
「…………葉山」
「なに?」
「ギイに言ったか?」
「言ってないよ。この頃、帰ってくるの消灯後だし」
「あのな、こんなときこそ、ギイに言え」
「どうして?」
「葉山の気のせいじゃないんだったら、寮内での盗難だろ?」
「あ、そうか」
「とにかく、まだ無くなるようなら風紀委員として動くから。ギイには僕から言っておく」
「うん、わかった。とりあえず、今日は乾燥機が終わるまでここにいていいんだろ?」
「あぁ。じゃ、僕は急ぐから」
バタン。

「ヤローの下着をコレクションするような、マニアックなヤツがいるとは考えたくないが、一応ギイの耳に入れておくか。あぁ、頭が痛い」

これと言って、続きません。


2013年09月23日(月)
「………託生」
「にゃおん」
「どういうことなのかな、託生くん」
「暖かいんだよ」
「うん」
「首とかさ。カイロを入れておくポケットもついてるんだ」
「暖かそうだな(棒読み)」
「うん、だからギイのも用意した」
「……………は?」
「アメショがいい?クロネコにする?」
「………誰だ、これを考えたのは?」
⇒www.felissimo.co.jp/kraso/v14/cfm/...
うん、なんとなく;


2013年09月17日(火)
水面に雫が落ちた。
さざめく水面に、体がざわめいていく。
雫の熱さが移り、息が浅くなる。鼓動が早くなる。
互いの指先が意思を持って軌跡を描き、想いを伝えていた。
君が欲しいと。ひとつになりたいと。
水面が粟立つ。大きな波を打つ。
そして、二人は誰もいない水中で穏やかな眠りにつく。


2013年08月10日(土)
「あー、疲れた」
バイトが長引き、重い体を引きずるように帰ってきたワンルームマンション。
エレベーターを降り、チカチカ切れそうな蛍光灯に目を向け、
「管理人さん、今日も換えてくれなかったんだ」
と、ちょっとムカつきながら、視線を廊下の先に向けギョッとした。
おそるおそる廊下を進み近づいて、その光景にポカンと口を開けた。
平べったいダンボール………側面に『トマト JA●●』なんて書いてあるから、その辺りから持ってきたのだろう。その上に、一人の男が胡坐をかいて目を閉じていた。
「あの……」
風邪引きますよ……と続けようとして、男が首からかけていた板に目が点になる。
『拾ってください』
ぼくの声に男が目を開け、ぼくを認識してふわりと笑った。
うわっ、イケメン……じゃなくて!
「お帰り」
「た……だい……ま?」
あれ?ぼくの知り合いだったっけ?
「あの……」
「うん?」
「どなたですか?」
「ギイ」
いや、名前を言われたって、わかんないし。
「ここ、ぼくの部屋の前なんで、困るんですけど」
「うん、知っててここにいるんだ」
「は?」
「オレを拾って?」
………ぼくは、目を開けたまま夢を見ているのだろうか。


2013年07月11日(木)
色とりどりの絹の洪水に、そこかしこから笑い声やガラスが触れ合う音がする。
付き合いとは言え、ぼくがこんな所にいるのは、あまりにも場違いだ。
そんな中、ひときわ目立つ集団の中心にいる人物が、ぼくを……いや、ぼくの連れを見つけ、周りにいる人達になにやら声をかけ、こちらに向かって歩いてきた。
「副総帥、お久しぶりです」
「これは、山中理事長」
ほらね。
お決まりのご挨拶というのを交わし、理事長がぼくを振り返る。
「副総帥、当オーケストラのコンサートマスターの葉山です」
「………お久しぶりです、副総帥」
とたん、ピクリと眉を上げ、一瞬ムッとしたような表情を浮かべたものの、すぐにお得意の仮面を被り、
「久しぶりだな、葉山」
と、右手を上げた。
にこやかに握手をするぼく達を、驚いたように見る理事長に、
「同じ高校の同級生なんですよ」
彼が補足する。
そう、同じ祠堂の卒業生。顔見知りであっても、おかしくないわけだ。
忙しそうな副総帥は、その後すぐ別の客に捕まり奥へと消えた。

「あー、疲れた」
あんなパーティ、ぼくの仕事になんの影響があるんだか。
マンションに帰り、上着とネクタイをソファに放り、シャツのボタンを3つほど外したときチャイムが鳴った。
「はいはい」
インターホンの応答に応えることもなく玄関に直行し、ドアを開ける。
「お帰り」
「………」
にっこり笑ったぼくを機嫌悪そうに睨み、さっさとリビングのソファにどさりと身を投げ出た。
「なに怒ってるんだよ?」
「お前な。久しぶりって、なんだよ?」
「だって、一ヶ月ぶりじゃないか。久しぶりって言ってもおかしくないだろ?」
「知り合いなら、な」
「……知り合いだよね?」
とたん、見下ろしていたはずの視界がぐるんと回って、気付けば彼の腕の中。
「知り合い?」
「………恋人だったかな?」
「疑問系にするなよ」
とぼけるぼくにクスクスと笑いながら、一ヶ月ぶりのキスをする。
「ギイ………」
知人の振りは、君が好きな恋のスパイスってやつだよ。


2013年06月25日(火)
「あっ」
バチン!
「泉?」
「あー、逃げられた!かゆい〜」
「蚊に刺されたのかい?」
「うん」
(俺の泉の柔肌に……!)
「………吉沢?」
「しっ(精神統一)」
「…………」
………キー……バチン!
「すごーい、吉沢!」
「そんなことより、泉!薬塗らなきゃ。痕が残ったら大変だよ!」
「吉沢……(うっとり)」


「………」
バチン!
「アラタさん?」
「くそ、逃げられたか」
「蚊に刺されたんスか?」
「見ればわかるだろ?」
「俺のアラタさんに〜〜〜〜!」
「ばかもの。お前のものになった覚えはない」
バチン!バチン!バチン!バチン!
「聞いてないな、こいつ」
「ふー、追い詰めた。おーれーのアーラーターさーんにぃぃぃぃ!」
バチン!
「よっしゃ!」
「蚊くらい、一発でやれよ。それより、真行寺、薬」
「はははははい!」
「じゃ、お前、帰れ」
「はい?!今日は葉山サンがいないから、お泊りしていいって!」
「かゆくて、お前の相手するのが面倒になった」
「そんなぁぁぁぁ。ア〜ラ〜タ〜さぁぁぁぁん」
「うるさい」


「あっ」
バチン!
「野沢さん?」
「あー、逃げられたか。かゆくなってきた」
「蚊に刺されたんですか?」
「そう」
(俺の野沢さんに……!)
「駒澤?」
ずずずずず、シャキーン!
(おぉ、駒澤の背後に赤い炎が)
………キー……バチン!
「さすが、駒澤。すごいね」
「それより、野沢さん!薬塗らないと!」
「うん、駒澤塗って。あ、ここは違うからね(ちらり)」
「の……のざ………(鼻血)」
「駒澤、可愛いw」


「あっ」
バチン!
「託生?」
「あーあ、逃げられちゃった。かゆいー」
「蚊か?かくなよ、痕が残るぞ」
「でも………あぁ、もう!」
バチン!
「よほど、託生の血が美味いんだろうな」
「ギイ、どうにかして!」
「よーしよし。どうにかしてあげよう」
「そっちじゃない!」
キー……ン。
「ほら、飛んでるじゃないか!」
「確かに。託生の肌に痕を残していいのはオレだけだし」
「バカなこと言ってないで、なんとかしてよ!」
「はいはい」
殺虫剤噴射。
ぶしゅわーーーーーーーっ!
「げほげほ、ギイ………撒きすぎ……げほっ」
「蚊を探してぶっ潰す時間が惜しいからな。夜は短いし」
「はぁ?そんなことより、ギイ、かゆい。薬ないの?」
「オレが塗ってやるよ」
「……って、こら、脱がすな」
「服に隠れているところも刺されてるかもしれないし♪」
「ギーイーーーッ!」


2013年05月24日(金)
「ラマダーンは夜しか食っちゃいけないんだぞ」
「それで?」
「食いだめしないといけないから」
「ギイ、なに、してんだよっ!食べるんだろ?!」
「そうだよ、食うんだよ」
「なにを?!」
「なにって、ナニ」
「………ぼく、知ってるよ。あれってラマダーン中、禁止なんだよね」
「へ?」
「託生、それ間違い」
「え?」
「確かに断食期間中の飲食、喫煙、性行為、投薬は禁止されてるけど、断食期間中ってのは日の出から日没までの間だから、夜はOKなんだ」
「そうなの?」
「なにしろ教典に『明け方まで飲み食い、性行為を行え』って書いてるし」
「って、脱ぐな、こらーっ!」


2013年03月23日(土)
「なんだよ、矢倉。こんな時間に?」
「仕方ねぇだろ。追い出されたんだから」
「は?」
「AV鑑賞会だってよ」
「AV………」
「って、ギイ、知ってるよな?」
「アダルトビデオだろ?DVDなのに、なぜビデオなのか考えただけだよ」
「そんなこと、俺も知るかよ」
「で、ここにどれだけいるつもりなんだ?」
「あー、1時間程度かなぁ。始末は自分の部屋でしろって言ってきたから」
「1時間もいるのかよ」
「だからビール持ってきたじゃん」
「いいけど。舎監にバレたら、ややこしいぞ」
「大丈夫じゃないか?洋モノじゃない限り、外には漏れないだろうし」
「は………?」
「あれ、うるさいじゃん」
「そうか?」
「『Oh!Oh〜!OK!Come On!YesYes!!』って感じだし、萎えるよな」
「普通だろ?」
「………は?」
「………え?」
「………今、ものすごく温度差を感じてるんだが」
「オレも、そう思う」
「ちなみに聞くが、ギイって日本のAV見たことあるか?」
「ない」
「じゃ、葉山とイタすとき、違和感を感じなかったか?」
「………ノーコメントだ」
「てことは、違和感、感じまくったってことじゃねぇか。悪いことは言わん。一度見てみろ。でもって日本人を勉強しろ」
「矢倉………」
「葉山のためだ。体育会系の乗りじゃ、いつか葉山に愛想をつかされるぞ」
「あのな」
「今からでも見にいくか?」
「いかねー」
「じゃ、借りてきてやるから。ちょっと待ってろ」
「お……おいっ」


2013年02月04日(月)
Ayaさまの時代劇
「山吹色の菓子でございます。どうぞ、お納めください」
「ほぉ、菓子とな。越後屋、おぬしも悪よのぅ」
「いえいえお代官様には……」
ごとっ。
「なにヤツ?!」
「見つかっちゃった。どうしよ……」
「だから言ったんだよ。託生には無理だって」
「ギイ!……あれ?いつ来たの?」
ぐさっ。
「うおっ。短気なヤツだなぁ。仕方ない。いっちょ一暴れしますか」
「だめだめだめ。二人じゃ無理………」
「託生が行くって言った時点で、全員来てるって」
「む………それって、ぼくが頼りないってこと?」
「じゃなくて」
「出て来い、曲者!」
「とりあえず話はあとでな」


2012年12月22日(土)
逃げ出すように走り出したぼくの腕を、力強い手が握り締め引き止める。
その反動で足をつまづき、前につんのめったぼくの体を、器用に片手で引き寄せクルリと路地裏の壁に固定した。
絡み合う二人の荒い息が、他人事のように耳に届く。
支社長の睨み付けるような視線に居たたまれなくなったぼくは、顔を隠すように視線を下に向けた。
いや、そうじゃない。
こんな顔、見せられない。見られたくない。この人にだけは……。
「お……まえを待ってたの……に、どうして逃げるんだよ」
逃げたわけじゃない。
目の前に飛び込んできたお似合いの二人に、自分が場違いな存在だと自覚したから、その場を去っただけだ。
「………お邪魔のようだったので、遠慮したんですよ」
無理矢理大きく深呼吸を繰り返して息を整え、それらしき理由を口にする。
多少棘があったかもしれないけど、急遽呼び出されて行った先で、あんなキスシーンを見せられることになるなんて思わなかったのだから、これくらいは許されるよね。
「あれは、不可抗力だ。好きなヤツがいるのに、オレが女に声をかけるわけがないだろ?」
不可抗力だとの言葉にホッと息を吐きかけ、でも続けられた台詞にすっと心が凍っていく。
今までプライベートなことを聞いたことはなかったけれど、やっぱりいるんだ。心に決めた女性が。
「だったら、ぼくの仕事の邪魔なんかしないで、その恋人のところに行けばい……」
「恋人なんかじゃない!」
唸るように噛み付いた支社長の表情が泣き笑いのように歪む。と同時に、貼り付けのように固定されている両腕に力が込められ、その痛みに顔を歪ませた。
放せよ、この馬鹿力!
「………片思いってことですか?それなら、さっさと告白したらいいじゃないですか。こんな所で油を売ってないで」
「無理だ。これだけオレを見てもらおうと努力しているのに、気づいてもらえない。想いを告げたってふられるだけだ」
こんな情けなさそうな顔でさえこの人には似合うのに、なにをそんなに弱気になっているんだか。
支社長に好きだと言われて断るような女性なんて、いるはずがない。
「だったら客観的な意見を言ってあげます。支社長をふるような人間なんて、この世にいません」
「………絶対だな?」
「えぇ」
ぼくの言葉に、支社長の目の奥が光ったような気がした。腕が開放される。
「好きだ」
「ぼく相手に練習したって………」
鼻先に支社長のコロンと柔らかい布地があたったと思ったら、体が暖かいなにかに包み込まれた。
「愛してる」
「……え?」
「オレが好きなのは、お前だ」
信じられないような言葉を耳にし、確かめようと顔を上げた至近距離に真剣なまなざしの支社長がいて顎を引く。
「オレはふられないんだろ?託生が今言ったんだから」
「じょ……冗談は………」
「誤魔化すな!」
ビクリと固まったぼくの右頬に支社長の手が触れる。指が頬を滑り愛しそうに髪をかき上げ、頭の後ろに大きな手が回りこんだ。
「……愛してるんだ、託生を」
口唇に直接流れ込んできた言葉を拒否することなんて、ぼくにはできなかった。
だって、ぼくも支社長を愛していたから……。

以前Suicaがどーのこーのとツイッターで言っていたときに浮かんだアナザーおふぃすらぶのボツです。はい、ただいまフォルダ整理中。最後間違えてたので、削除してもう一回。


2012年10月10日(水)
「よ」
「ギイ?!言ってくれれば、時間空けたのに」
「託生も忙しいだろうと思ってた。でさ、託生。佐智にソリストになるかどうか、相談してるって?」
「あぁ、その話か……。うん、以前から佐智さんにも言われてるし、楽団員やっている間にコネもできてきたし、そろそろかなって」
「オレも、いい頃合いだと思う」
「本当に?」
「あぁ。だからな、オレ、託生のマネージメントをすることにした」
「………は?」
「オレだったら、日本だけじゃなくて海外まで活動を広げることができるぜ?通訳もばっちり」
「………へ?」
「もちろん、ソリストの手に怪我させちゃいけないから、炊事洗濯はオレの仕事な。そのために料理学校も行ってきた」
「…………ギイ」
「なんだ?」
「いったい、いつ日本に着いてたのさ?仕事は?島岡さんは?」
「まぁまぁ」
「じゃなくて!きちんと、ギイがここにいる理由を教えろよ!」
「ははは、勘当された」
「………ギイ?!」


2012年05月15日(火)
う、考え出したら面白いぞ。
「森林浴クラブ?誰だ、発起人は?崎?」
「予算もかからないし、早起きのリズムがつくし、なにより健康的だぞ?」
「……葉山とデートしたいなら、勝手にしてろ。却下」


「トムソーヤクラブ?誰だ、発起人は?」
「はーい。俺、俺」
「矢倉……」
「やっぱり、男の夢だよな!木の上の秘密基地!」
「材木を買うのに、予算がかかりすぎる。それにもしものときの保険もだ。却下」


「崎!」
「げっ」
「こらこらこら、なにを逃げる?」
「……はぁ。今日は、なんですか、相良先輩?」
「いやいや。麗しの美少年を新しいクラブに勧誘しようと思って」
「お断りします」
「まだ、どんなクラブか言ってないだろ」
「聞いてますよ。巷の噂では相良先輩が『ターザンクラブ』なるものを作ったと」
「そうそう。生徒会長の権限で作ったんだよ。どうだ、崎?」
「入りません」
「そう、言うなよ。気持ちいいぞー。『アーアアー』って」
「………どんなクラブだよ」


2012年01月25日(水)
「すまない。お前しか頼めないんだ」
「できる限りのことはするがな。でも相手はFグループなんだ。こんな子供騙しな小細工なんか数日で揉み消されるぞ」
「わかってる。たった数日の逃避行だってことは」
「ギイ…!」
「でもな、章三。ほんの少しでいい。夢を見させてくれ」


2011年10月07日(金)
Ayaさまの海賊物語
「チャ〜ラッタ チャ〜ララ〜 チャ〜ラッタ チャ〜ララ〜」
「………てめぇら、なにやってる?」
「あ、お頭。今、陸で流行ってるヒップダンスってやつでっさぁ」
「それは、ボンッキュンッボンの女がするやつじゃねぇのか?てめぇらにはタコ踊りの方が似合いだろうが。気持ち悪いから止めろ!」
「………そうなんだ」
「へ、託生?」
「ボンッキュンッボンのお姉さんしか似合わないんだね」
「いやいやいや!託生なら似合う!」
「思ってもいないこと言わなくていいよ。あの、教えてくださって、ありがとうございました(ペコリ)」
バタバタバタ。
「あーあ、坊主、楽しそうに踊ってたのに」
「楽しそうに?」
「あんな笑顔、初めて見たのに」
「笑顔?」
「腰のくねらせ方が、絶妙だったのに」
「くねらせ方………託生ーーーーーっ!!」
「………どうする?」
「やっぱり、これしかないってか?!さぁ!お頭が坊主に許してもらえるのは、今日か、明日か、明後日か?張った張った!!」
「俺、明後日!」
「明日だ!」
「船上の娯楽を提供してくれる坊主ってのは、貴重だよなぁ」
どろん!! |ω・) |・) |) ※パッ


2011年09月28日(水)
Ayaさまの海賊物語
「章三、託生は?」
「葉山なら、甲板の掃除してるぞ」
「は?」
「ギイが剣の練習反対したから、ヤロウ共にナイフを教えてもらってたんだが……」
「なにぃ?!あいつら、そんな危ないこと教えてやがったのか?!」
「だ!が!ナイフ、後ろに飛んでいったんだそうだ」
「………あぁ」
「それで、やることがないというから、甲板の掃除を頼んだ」
「なるほど。ちょっと見てくる」
「おーい、たく……」
ドタドタドタドタ!!
「…………ははは。真面目なヤツだから、仕方ねぇなぁ。託生……」
ドタドタドタドタ!!
「おい、こら、託生、無視すんな」
「えっ、ギイ、なに?!」
ドタドタドタドタ!!
「オレが来たんだから、少しくらいサボっても……」
「あーっ!そこ掃除したばかりなのに!!」
「す…すまん」
「もう、ギイ、邪魔だから向こう行って!!」
「たく………」
ドタドタドタドタ!!
「葉山、掃除終わったか?」
「うん。久しぶりに運動した気分」
「ギイ、いたっけ?」
「……はぁ。ま、いい。モップ直してきたらどうだ?」
「うん、わかった」
「……おい。海賊の船長殿が樽の陰で「の」の字を書くのは鬱陶しいぞ」
「託生に、邪魔者扱いされた………さめざめ……」


2011年09月27日(火)
Ayaさまの海賊物語
殴られそうになった時、無意識に腕で庇うような防御本能もあるが、未知の事柄にどう反応するのかわからない場合、普通なら、ただ身体に力を入れ硬く手を握り締めるだけだろう。
それなのに、否定の言葉を発している態度とは裏腹に、自分の身の内に起きている衝撃を最小限にする為、無意識に呼吸を浅くし力を抜いた。
……こいつは知っている。
本能が悟った時、視界が赤く染まったような気がした。

@torte_2011 「子供のような顔をしておきながら、中身は十分オトナなわけだ。……遠慮はいらねぇよなぁ」
ヤバイヤバイヤバイ!

@torte_2011 「操なんて立てたって、そいつは助けに来てくれねぇぜ?ここは海賊船の中だ」
オレの腕の中だ…!
「身体は正直だよなぁ。素直になれよ。現実を見ろ」
オレを見ろ…!
「落ちろよ」
オレと地獄へな……。
ε=ε=ε=ε=ε=(o・・)oブーン

@torte_2011 「お頭!馴染に聞いたところ、『惚れてんだ!』ってのはムードがなくていけねぇらしいっす。やっぱ、あい、あい、あいし……」「てめぇはバカか。愛してるくらい照れずに言えよ」「さすが、お頭!海千山千の男!…ハッ」「……ぼくだけじゃないんだ」「こらっ、託生、待て!」

@torte_2011 「お頭!馴染みが言うにはムードを考えろと」「メード?」「モード?」「iモード?」「iモードってなんだ?」「ヌードのことだろ?」「てめぇら!」「………お頭、鼻血止めてくんせぇ」


2011年09月20日(火)
「初めまして、弁護士の崎です。相談事とは?」
「主人のことなんですが、外に出れば『どこに言ってた?』と言われるし、少しでも他人と仲良く喋ればむっすりと怒ってヤキモチ妬くし、あの人の手帳には記念日と名を打って、事細かく色々なことが記録されていますし。
そう!それも『初めて手を握った日』とか『初めて間接キスした日』とか、しょーもない記念日で、しかも私が忘れるとふてくされるんですよ。つい最近はGPSまで私につけている事がわかって、もう、こんな窮屈な生活イヤなんです!」
「それは、大変ですね………って、オレのことか?(小声)」
「先生、なにか?」
「いえいえ。こちらの話で」
その夜。
「ギイ、おかえ………」
「託生、オレを捨てないでくれ〜〜〜〜!!!」
「はい?!」


2011年09月16日(金)
「ふぅん。君が託生を捨てた男か」
「捨てただと?!オレは託生を…!」
「結果的には同じことだよ。事実、託生は君の横にいないじゃないか」
「っ……!」
「バカな男だよ。こんな可愛い託生を捨てるなんてね」
託生の肩に回した手を頬に移しその動きに逆らいもせず、託生は男の肩に頭を預けた。


2011年08月04日(木)[Ayaさまの暗号]
「助けに来るころには心中してそうだ」「やめてくれ!」「手引きしてやれよ。時限爆弾を停止にするにはどうすればいいのか。教えるのは得意だろう?」「たくみ…っ」「ほら、早くしないとまた爆発した」「集中、しろ」「なんだって?」
「託生、集中しろ!」「聞こえてないよ?」「余所見するな、赤を切ろっ!」
140文字には収まらなかったし、ものすごく無理矢理(笑)


@torte_2011 「xx」を消しながら、楽しませていただきました♪……が、最後間違ってる;「切ろ」じゃなくて「切れ」ですね;あぁぁぁぁ。

@torte_2011 「全員にキスし終わったころには見つかりそうだ」「やめてくれ!」「心してしてやれよ。ニューハーフを返り討ちにするにはどうすればいいのか。変装は得意だろう?」「たくみ…っ」「ほら、早くしないとまた……キスされた」「…、しろ」

@torte_2011 「なんだって?」「託生、女装セット用意しろ!」「聞こえてないよ?」「ボヤボヤするな、かま野郎を振り切るっ!」 ………そろそろ壊れてきましたので、落ち!


2011年06月26日(日)
「なぁなぁ、やっぱり3年の先輩って、経験あるんだろうな」
「あぁ、ありそうだよな」
「崎先輩は、どうなんだろ」
「……そりゃ、あるんだろうけど、ストイックすぎて想像つかないな」
「想像つかないって、ベッドの中の?」
「だって、あの顔だぞ?性欲なんて微塵もありませんってな感じで」
「なんか、黙々と腰振ってそう」
「わはは、ありえる!」
「義務的にやって、はい終わりみたいな」
ワイワイガヤガヤ。
「………オレ、そんなか?」
「自分が一番よくわかってるんじゃないの?」
「だよなぁ。時間があるなら、ずっと託生を抱いていたいのにな」


2011年06月11日(土)
そうそう。男子高校生の体育の授業で武道ってあるよね。柔道、剣道、相撲。ギイ的に許されるのは、剣道かなぁ。相撲なんて、論外。柔道は…「なんでギイが相手なんだよ?」「変わってもらった。当たり前だろ?!」「…いいけど」「ちゃんと受身取ってくれよ」「うん」襟元を握って、ダン!「いったぁ」
「………」「ギイ?」「託生…」「うーん、受身取れたけど、くらくらする」「……」「ギイ?…はっ!どこ、見てんだよ?!」「い…いや」と言いつつ、乱れた柔道着から覗く、上半身から目を離せない。……ってことになりそう。そーいや、寝技なんて、危ないなぁ。うん。下半身危ないよ(笑)
「ギブギブギブ!ギイ!」「すまん!今は無理!」「無理じゃなくて、離れて!」「だから無理。……反応したみたい」「じゃなくて、してるだろ?!当ってるってば!(小声)」「だってなぁ、託生を組み敷いてるんだぞ。反応するなって方が無茶だ」「どこでも、盛るな!」げしっ!

あー、体育っていいよなぁ。高1の時は、絶対体操服に着替えるとき、ちらちらと「見てはいけない」と思いつつ見てただろうし、高2では、「誰も見るなよ、オレのものだ!」と思いつつ、やっぱり鼻血だしそうになっていただろうし。ギイの苦悩って、楽しいよね♪


2011年06月08日(水)
「手玉はな、真ん中を打てば、当ったあとそのまま転がるけど、下の方を打てばバック。右側を打てば当ったあと右に、左側を打てば左に飛ぶんだ。だから、次の玉が打ちやすいような位置に持っていくようにするんだぞ」


2011年06月07日(火)
「ギイのブレイクショット、格好いいね!」「そうか?」「うん!カンカンカンって、全部散っていくよね。いくつかボールも入るし」「ほら、託生の番だぞ」「うーん、どこ狙ったらいい?」「キューは腰に固定して…そう。バックかけなきゃだから、手玉の下を突くんだ」「あ、戻った!」「筋がいいぞ」


2011年06月02日(木)
「この頃、体力が落ちてきてるよね。このままじゃコンサートに響くし、どうしよう…。ジムに通う?ギイがなんだかんだと反対しそうだし、その代わりにって一部屋丸々トレーニングルームに改造しそうだし…。うーん」というわけで、託生くんにWiiFitPlusをやってもらいました♪(笑)

もしも託生くんが「ジョギング」をした場合。
「お。頑張ってるな」
「お帰り。ちょっと待って。はぁはぁ。あと少しだから」
「あぁ、頑張れ。託生に体力ついたら、あと1、2回付き合ってもらえそうだし」
「はい?!」
「楽しみだな」
「違う!ぼくはバイオリンの為に!…と終了。ギイ!」
「照れるなよ。色々試したいのもあるしさ」
「なに、色々って?!わわっ、ダメだって、ぼく汗びっしょり…」
「オレ、託生の汗の匂い、だーいすき♪」
「ダメダメダメダメ!シャワー!」
「じゃ、シャワー浴びながら」
「ギャーーーー!」

もしも託生くんが「燃焼フープダンス」をした場合。
「これ結構腰痛い」
「でも、いいな、これ」
「なんで?」
「腰の揺らめきが、なんとも」
「なに、それ?!」
「腰が柔らかくなったら、色々できるもんな」
「だから、その色々ってなに?!」
「あ、もしかして、託生、誘ってる?」
「誘ってない、誘ってない!」
「はい、終了〜」
「うわぁ、ギイ、おーろーしーてー!」
「とりあえず、運動の成果を確認させてもらうか」

もしも託生くんが「リズムボクシング」をした場合。
「託生……」
「なに?」
シュシュ!
「これは、しなくてもいいんじゃないか?」
「何言ってるんだよ。これこそやらなくちゃ」
シュシュシュ!
「いや、これは必要ないと思うぞ」
「肩と腕の筋肉鍛えるんだよ。バイオリンには必要だよ」
シュシュ!シュシュ!
「これ以上、腕っ節強くなられたら、オレ顔面変形する…」
「ギイが、変な事しなきゃいいんだよ」
シュシュシュシュ!
「やっぱり、これは止めろ」
「あー、ギイ、消すなよ!」
バキッ!
「………だから、これはいらない…と……効…いた…」


2011年04月28日(木)
【ボツ】「昨日は笹かまありがとうな。すっげぇ旨かった」
「よかった。ギイの口に合うかちょっと心配してたんだ」
「ははっ、いらない心配してくれてたんだな。マジ、全部食っちまった」
「そうなんだ。それはよかったよ……あのさ、ギイ」
「うん?」
「託生のこと頼むな。俺、託生の事、弟のように心配で…。ギイだったらわかってもらえると思ってるんだ。託生、あれだけど、いいやつなんだ」
「うん、知ってる」
「それとな、鶏肉と麺類が好物で、緑黄色野菜が苦手なんだ」
「……らしいな」
「それと、朝が弱い」
「今朝もギリギリだったぞ」
「それから、それから………雨が嫌い」
「……雨?」
「たぶんだけど、俺、朴念仁だから違うかもしれないけど、雨の日は、託生が泣いてるように見えたんだ」
「……片倉は、どうしてた?」
「ただ、何も言わずに、じっと気付かないふりをしてた。もしかしたら、何かあったのかな?って思ったんだけど、聞ける雰囲気じゃなくて…」
「……わかった。雨の日に気をつけたらいいんだな?」
「うん。俺、託生の病気治したかったんだけど、できなかったから。だから、せめて過ごしやすいようにしていたつもりだったんだ。ギイ。託生の事、頼むよ」
片倉に言われるまでもない。オレこそが接触嫌悪症を治したいと思っていたんだ。
ヒントは雨。これから、何かが見えてくるのだろうか。


2011年04月23日(土)
「この奥がラスボスだな」
「なにか、音が聞こえてこないか?」
「本当に、こんな所に魔物がいるのか?」
「誰?」
「この国の王子、ギイだ。お前を退治しにきた」
「ぼくを退治?!」
「あ……」
「ぼく、殺されちゃうの?リュート弾いちゃいけなかったの?」
「いや……」
「イヤだ!殺さないで!」
「ごめん!オレの勘違いだ。殺さないから」
「でも、殺さなくても捕まえる気でしょ?」
「あ、え、うん。お前を城に連れて帰りたい」
「やっぱり、捕まえるんだーーーっ!」
「なぁ、あれ、どうする?」
「放っておけ。だいたい歴代の王子が17歳の時に、そんな都合よく魔物が出てくるか」
「じゃあ、一体、あれは誰だ?」
「さあな。城の占い師あたりが、結婚相手を水晶玉で探したってところだろ」
「……男に見えるんだが」
「でも、あいつは気に入っているぞ」
「名前を教えてくれないか?」
「……タクミ」
「いい名前だな」
「……ギイ」
「なぁ、オレと一緒に城に行かないか?」
「ぼくを城に連れて行って、どうする気なの?」
「どうするって……」
「あー、妄想しすぎてパンクしそうだな、あいつ」
「なにを考えているのやら」
「オレと一緒に行こう」
「お城って、怖くない?」
「怖くないさ。オレが守ってやるから」
「本当?」
「……すっげ、かわいい」
「え?」
「いや、なんでもない。じゃ、行こうか」
「わっ!おろして、おーろーしーてー!」
「あーぁ、可哀想に」
「なぁ、跡継ぎはどうするんだ?」
「ま、なんとかなるだろう」
「なる……のか?」
「深く考えるな」


2011年04月19日(火)
今日のフライトを終えケネディ空港に着いたオレ達は、社から指定されたホテルへ向かった。
機長のオレに用意されているのは、それなりのシングルルームなのだが、そんな非効率的な部屋割りなんてごめんだ。せっかく託生が副操縦士についたのだから。
事前にホテル側に連絡し、託生に気付かれぬようツインルームを用意させた。
「機長、お疲れ様でした」
「あぁ、託生もお疲れ」
アタッシュケースを置き制帽を脱いだ託生が、他人行儀に声をかける。
なにをそんなに緊張してるんだか。滅多に会わないが、同じマンションに住んでいるというのに。
「2日間の休暇か。明日、ニューヨーク案内でもしようか?」
「え、でも、機長。こっちに実家があるんでしょう?御家族に顔を見せられたほうが…」
仕事モードが抜け切れていない託生に苦笑し、
「オレは、そんなに暇じゃない」
上着をベッドに放って、託生へと足を向ける。
「じゃ…じゃあ、そんなニューヨーク案内なんて…」
「だから、オレは託生を口説くのに忙しくて、そんな暇ないって」
「き…機長!」
まだきっちりと留まっているダブルのボタンを外しながら、託生の米神にキスをする。
「もう仕事は終わりだよ。託生…」
「ギイ………」
託生は頬を赤く染めながらオレを見上げ、観念したように目を閉じた。


2011年04月04日(月)
@torte_2011 「待ってた」微かに動いた口唇がオレに囁きかける。霧に溶けないように、そっと白い肌に触れた。潤んだ黒い瞳が、寂しそうに震えていた。深い眠りの中、オレの声だけがお前に届いたのだろうか。「帰ろう、託生」羽のように軽い体を抱きかかえオレは霧の出口へと歩き始めた。


葉山。明日キャンセル」「別にいいけど、急用?」「いや、親父が持ってるマンション贈与される事になって、住民票を移す事になった」「引っ越すの?」「引っ越さないよ。ただ住んでいる事にした方が、建物の登記代が安くなるんだと。租税特別措置法ってやつだな」「へぇ」「期間は決まっているがな」


2011年03月25日(金)
@torte_2011 君を殴りたくなんてないのに、体の髄まで染み込んだ条件反射。それさえも「託生だから」と笑ってくれる君に、いつかぼくからのキスを送れるだろうか。その時の君の驚いた顔を思い浮かべて、小さく吹き出す。もう少し。あと少し…。


2011年03月24日(木)
「どうした、眠れないのか?」「ううん。リュートが鳴らして欲しがってたから」「月と共鳴しているようだな」「うん。この子はノクターンが好きみたい」……やっぱりドラクエでBLって、絶対おかしいと思う。

ギイ 勇者、ショーゾー 魔法戦士、ミス 賢者、ハヤマ 天地雷鳴士、シンギョージ バトルマスター、ヤグーラー ゴッドハンド、ヤツ パラディン、カタクーラ 魔物ハンター、ヨシ=ザワ 海賊、タカバヤシ スーパースター…上級職にするとこうかな。って、アホな事考えるのやめよ。

ギイ 戦士、ショーゾー 魔法使い、ミス 僧侶、ハヤマ 吟遊詩人、シンギョージ 武闘家、ヤグーラー 笑わせし、ヤツ 盗賊、カタクーラ 羊飼い、ヨシ=ザワ 船乗り、タカバヤシ 踊り子……7の基本職業で行くとこうかなぁ。


2011年03月23日(水)
@chisayakun 「お前な自分のレベル考えてるか?スライムごときにやられそうになっているのに、このレベルで森の中に突入するのは、どう考えてもまずい」「このくらいの傷、ショーゾーが魔法で何とかしてくれるだろ?」「僕は僧侶じゃないんだ。攻撃魔法しか持っていない」なんですけど?

「仕方なかろう。Level1の戦士は、鍋の蓋とこん棒って決まっているんだから」
「……そういうショーゾーは木の杖か。年寄り臭いな」
「魔法使いに杖は必須だろうが!」
「いやいや普通は、なんとかロッドとか言う飾りのついた綺麗な杖だろ」
「……一人で行くか?」
…いつか個人的に遊ぼう


2011年03月04日(金)
「もうすぐ卒業だから一目見ようと女子高生も必死なんじゃないか?」「迷惑だ、おちおち託生とデートもできやしない」「だったら女装でもしたらどうだ?」「矢倉…どっちが女装しろと?」「やっぱギイだろ。バリバリ目立つぞ」「目立ってどうする?!というか、誰が女装なんてするか!」…すみません。
「大体、こんな身長で女装なんてできるか!」「おっ、ギイ、やる気だな。胸はアンパンでも詰めとけ」「バカか。そうだ、お前やれよ、矢倉」「俺、化粧したらガンガン男釣れるぜ」「ふぅん、矢倉は男が釣りたいのか」「や…八津」「ギイに女装の趣味があったなんて…」「託生…」「勝手にやってれば!」


2011年02月27日(日)
見てしまった!もしかしたら、まだ葉山サンが練習しているかもと走っていった温室の隙間から、二人がキスをしているのを!ギイ先輩の指一本までもが男の色気を放ち、受け止めている葉山サンの幸せそうな表情に、昨晩を思い出して己の力量を思い知る。いつかアラタさんに、あの顔を!…できるのか、俺?


2011年02月23日(水)
<ボツ>「真行寺君は、昨夜ぼくと一緒にいました」「でも、君も酔っていてあまり記憶がないんじゃ、信用するわけにはいかないよ」「ようするに、真行寺君とぼくが朝まで一緒にいたという証明ができればいいんですね?」「葉山サン?」
「もしもし?うん、ぼく。昨日の午後8時頃から今朝8時頃までの、ぼくの映像あるよね?」『…………』「誤魔化さなくていいから。今はそれが必要だから。真行寺君の無実を証明するのにいるんだよ」『…………』
「あぁ、もう!今は、そんな事言っている場合じゃないだろ?とにかく、その映像を持ってきて欲しいんだ」『…………』「うん。今○○署。どのくらい?」『…………』「30分だね。うん、ありがとう…えっ?」『…………』プチッ。
「葉山さん、今のって…」「一緒に怒られてね、真行寺君」「そんなぁ…でも、映像って、葉山さんSPでもついてたんですか?」「ううん。空」「は?」「宇宙から見てるみたい」「へ?」「ギイはバレてないと思ってたみたいだけどね」ギイ先輩のスケールの大きさには、ついていけそうにない…。


2011年02月20日(日)
「飛び立つ飛行機を何度見ればいいのだろう」「離れ行く滑走路を何度見ればいいのだろう」「身を切られるような想いを何度経験すれば」「二人が共にいる事を許されるのだろう」交差する想いは必ず一つに混ざり合うから「「いつか…きっと…」」


2011年02月18日(金)
夜中に青白い光が、部屋の隅から浮かんでいないだろうか?勝手にカーソルが左から右に動き、デスクトップ一杯に「takumi」と並んでいたのなら、それは世にも恐ろしいギイウイルスに感染してしまっている。
貴方の友人に「惚気メルマガ」を配信し、いかに自分がtakumiを愛しているのか、切々と訴えるトロイ系ウイルス。そのままにしておくと、貴方の品性まで疑われてしまうだろう。
恐怖のギイウイルス駆除には、『シマオカテック タークミインターネットセキュリティ20XX』好評発売中!
 
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